第30話ジェシカさん

「よくお越しくださいました、アティさま。リリとモモも・・・ね。」


そう言って出迎えてくれた女性はジェシカさん、アーレム支部長でアマゾネス族のNO3で大魔術師だ。ジェシカさんとの訓練で私もリリやモモが何回死にかけた事か・・・。当時を思い出すとジェシカさんの笑顔が般若の微笑みに見える。


ジェシカさんは、ウェーブの掛かったショートヘアーの赤い髪をして、切れのある、そして右が赤、左が黒と言う色の目をしていて秘書の様な眼鏡をしていて、アマゾネス特有の大きなメロンにメイド軍団幹部の証となっている和服メイド服をきている。


「お久しぶりです、ジェシカさん。」


「「お久しぶりです。」」


「はい、はい、お久しぶりねえ。ささっ、こっちでユックリ順番をまちましょ。」


そういって、いつの間にか用意されているテーブルに促している。


「いえいえ、私たち、並ばないと・・・。」そう言うと、「大丈夫ですよ。」と言って他のメイドに目配せをすると、3人が私たちの代わりに並び、二人のメイドが先に並んでいる人たちにお菓子を配っていた。


「アティ様に不自由をさせる事は許されませんが、アティ様はラミア様と同じく目立つ事がお嫌いとの事でこういう方法を取らせていただきました。」と、にこやかな笑顔で答える。


これじゃ逆に目立ってる気がするんだけど・・・。リリもモモも飽きれ顔だ。


しばらくすると、如何にもガラの悪そうな人たちがやってきた。(お願いします。大人しくしててね。)と言う願いも空しくイベント発生。


「おいおい、今日は珍しい事が起こっていやがるぜ。綺麗どころのお嬢さんたちの接待があるみたいだぜ。」


「こりゃいいや、俺たちも頼むわ。ついでに夜の方もなあ、満足させてやるよ、朝までな・・・へへっ。」


「俺は、そっちの眼鏡のお姉さんに頼むかなあ」


そう言って一人の男が事もあろうかジェシカさんに掴みかけた。


(あ~あ、この人たち死んだかも・・・)


そう思った瞬間、ジェシカさんを掴もうとした男が氷付けになっており、他の男たちも叩きのめされていた。ラミア商会のメイドたちは全員A~Sランク冒険者並みに鍛えられているのだから当然なのだ。


「アティ様のおもてなしの邪魔をして、よほど死にたいようね・・・ふふっ」


その時のジェシカさんを見て、絶対に逆らうのはやめようっと心に誓った。






しばらくすると、無事町に入ることができた。


「私は、商会に戻らなければなりませんが、アティ様たちは、このあとどうされるのですか?」


「私たちは目的の冒険者ギルドへ行こうと思います。その方が後でゆっくりできますので。」


そう答えると、


「わかりました。では冒険者ギルドの前にある<ラミアホテルinアーレス>にお部屋を用意してありますので、ごゆっくり寛いでくださいませ。」


「えっ、ラミアホテルってなに?」


「ご存じありませんか?ラミア商会所有の宿屋でございますよ。他にも武器屋から服屋、流通に至るまでラミア商会のグループとなっております。」


なんと、とんでもない事になっていました、ラミア姉さん、もう町歩けないかも・・・目立ちすぎですよラミアって名前が・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る