第27話御劔の名前を持つ者
時間を少し戻すとしよう。
血まみれの茜をベットに寝かせクリスが魔法による治療を施している後ろで、俺が「これは、何が、どうなっているのか説明してくれないか?」と言うと、「もう、隠せないか・・・。」と一言言って、今が戦争中だと言う事や、茜が、どこで何をしていたのか、なぜ、そうなったのか、そして、クリスとラミアの過去を話、すべてを説明してくれた。そして、「茜の願いを叶えてちょうだい、」と言葉を閉めたのであった。
そう、「この世界を守って・・・。」と言った茜の願いを叶えようっと誓ったのである。
朝になり、朝食の準備をしていると、亜門が起きてきて、「茜に、うまい物を食わせてやりたいから、狩りに行ってくるよ。」と言って出掛けて行った。まさか、この時の「いってらっしゃい。」が最後の言葉になるなんて、思っていなかった。
亜門が出掛けて、暫くののち、島の結界が破れたのがわかった。
「ミストシールド。」
私は、すぐに霧の結界を張り、ラミアを起こすと、樽の中にラミアを入れて、「ラミア、よく聞いてちょうだい、今ここに、私たちを殺そうと兵隊が来たみたいなの。だから、貴方は此所にに隠れていてね。亜門の声が聞こえるまで、絶対に出てきちゃダメだよ。」そう言うと、ラミアは「お姉ちゃんは?」の一言に、
「私は、茜を守るからね。」と返事をして、茜の部屋に向かった。
茜の部屋の前に着いた時、一つの爆発音と多数の破裂音が響いて、玄関が破壊され、家の中が穴だらけになっていった。多分、これが、銃と言う物なのだろう、私は、茜の部屋の入り口で、魔法障壁を展開するが、一瞬で、何十発も打てる銃に対して効果は少なく致命傷を避けるのが精一杯だった。なるほど、茜が血まみれになるはずだ。
「クレア。どうなってるの、奴等が攻めてきたの?」
どうやら、銃声で茜が目覚めたようだ。「茜・・・にげ・・・て・・・。」とクレアの声。
一瞬の戸惑いののち、ドアを壊して入ってきた兵士が持っていたのは、クレアの首であった。
「うわああああああ・・・・・。」
クレアの首を取り戻そうと掴みかかるが、その前に一発の銃弾が私の頭を貫いた。最後に見たのは、裏切り者と、下げ染む兵士の顔だった。
「そして、わたしは亜門お兄ちゃんの声を聞いて、お兄ちゃんと会えた時は、クリスお姉ちゃん、茜お姉ちゃんは、死んでいたんだよ。そして、二人を埋葬したあと、亜門お兄ちゃんが、帝国と<佐々木 圭>それと、貴族や、その一族、あと、銃や兵器開発の痕跡を全て潰したんだよ。」そう言って、全てを話終えた。
アティは、静かに話を聞き、一言。「悲しいね・・・。」と告げた。
「そう、だから御劔の名を持つ者は、恐れられるし、この世界を守るって言う、茜お姉ちゃんの言葉を守らないといけないの。だけど、亜門お兄ちゃんが、調子に乗って、流儀だけじゃなく御劔の名前まで名乗ったから広がったって言う事もあるんだけど、」
そう言うと、真剣な顔つきで話を聞くアティに笑顔で付け加える。
「大丈夫だよ。有名なのは、御劔の名前と流派だけだし・・・。アティってだけなら大丈夫、ただ、御劔の名前を名乗る時は気をつけてね。」
そう言うと、アティも笑顔になり、「そっか・・。アティだけなら大丈夫なんだね・・・ふふっ。でも、ラミアお姉ちゃんは、ラミアって名前も有名になってるから大変だね・・・。」
そういうと天使の微笑みを見せてくれた。 えっ、ラミアって名前も有名って、どういう事?目立たない様にしてたはずなんだけどなあ。その理由は次の言葉で全てがわかった。
「だって、<ラミア商会>って、すごく有名になったってシルカさんが言ってたよ。」
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