第16話爆弾天使 アティ御劔
町に戻ると、多くの住民達が町の入り口付近に集まっており、そちらに向かって進むとシルカさんが現れて状況の説明を始める。
「ラミア様・・・。」
「何があったの?・・・。」
「はいっ、先ほど、忍(警戒担当)からの報告でエルフの兵士20名ほどが町に向かっているとの事でしたので、グラス様に対応をお願いしたところ・・・・。」
「おお、ここは中々良い町だなあ・・・。しかし・・・。」
「これは、これは、良く来られましたなあ。私が、この町の長を勤めているグラスと申します。それで、この様な所に一体何様で来られたのでしょうか?」
「いやなに、我が国の領土である此の地に、勝手に住み着いた者がおると報告があったのでな、見にきたのだ・・・。」
「・・・?・・。仰っている事が良く分かりませぬが・・・。」
「は~、分からないだと・・・。ここは、<シーホン皇国>の土地だと言っているのだ、わかったら即刻立ち去れ~。」
「・・・ご冗談を・・・。グフッ」
グラスさんの返事を待たずに、隊長らしき人物が剣で切りつけた。そして、次の瞬間、一陣の風が人混みの間をすり抜け、その隊長らしき人物の頭上に現れた。それは、木刀を頭上より叩き付けようとする、アティの姿であった。
「弱いものいじめは、するなーーーー。」
アティの叫び声と共に降り下ろされた木刀は、隊長らしき人物の足元に叩き付けられ、土煙と共に、大きなクレーターとなり、隊長らしき人物諸とも兵士20名を衝撃で吹っ飛ばしたのである。
アティの持つ木刀は、見た目、木の木刀だが、アティの力に耐えるように、中にミスチルの芯が入っている。それを、僅か6才とは言え、今では、LV750越えの鬼龍人が叩き付けたのである、20名の兵士達は全て気絶していて、私が到着したとき、アティは、私を見つけ、その天使のごとくの笑顔で告げる。
「弱いものイジメしてた悪い人たちを吹っ飛ばして、町の人を守ったんだよ・・・。えへへへっ。」
ウーーーン、これって、誉める所なのか?・・・。まあ、かわいいからヨシとしよう・・・。
アティは、ティアの事があり、町の住民を守ることを大切にしている。その目の前でグラスさんが切られたのである、アティが許せる訳がなかったのであろう。
「でもね、アティ。もう少し手加減しようね・・・。」
「えええー。これでも手加減したんだよーー。」
そう言って、ほっぺを膨らませ、少し拗ねた顔をみせる。ああ~やっぱり拗ねた顔も、かわいいなあ。
そんな会話をしていると、リリとモモがやってきて、「アティ様、一人で突っ込まないでくださいよ。」「そうそう、ケガをしたら、どうするのですかー」
どうやら私がしなくてもリリとモモが説教をしてくれるようだ。
我が妹。アティは、逞しく、やさしい天使に育っているようだが、もう少し自重を教えないと、火薬庫のような<爆弾天使>になってしまいそうだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます