第15話シーホン皇国の日常

ここは、ラーファイド王国の北側に隣接するエルフの国<シーホン皇国>の城内の一室で、長い机の上座には、この国の皇王が座っており、その周りを、各大臣たちが取り囲んでいた。






「いや~陛下、この前の店は、なかなかでしたなあ~」


「ええ、店の女達も200才以下と、まだまだ若く、ピチピチして居ったしの~」


「そうなのですか?私は、他の会合で行けなかったのですが、そんなによかったので?」


「おいっ、ここで その話をするなと言ったであろう。后に知れたら大変なのだぞ。ふふふ・・・。」


などと、およそ国政とは、まったく関係のない話で盛り上がっていた時。


「申し上げます!」


そう言って、一人の兵士が飛び込んで入ってきた。


「先ほど、我が第3騎士団の団長、ジルド第2王子が、兵20名を連れて<辺境の地>に向かって出立されました。」


その報告を聞き、ある者は、口に含んだ物を吹き出し、ある者は、手に持ったカップを床に落とし、また、ある者は互いに青い顔を見合っていた。


「いったい何のために<辺境の地>などにむかったのだ・・・。」


「それが・・・。最近<辺境の地>にて、人の出入りが確認され、それを伝えた所「<辺境の地>は元々エルフの土地であろう、そんな所に勝手に居つくなど許されるはずがない、これより調査に向かう。」と言って向かわれてしまいました・・・。」


「あそこには、一切近づくなと、特に王族は入っては為らずと申していたはずだ!」


「私も、そう申したのですが・・・。聞き入れてくださらななかったのです。」


そして、その場にいた全ての者が深い溜め息を吐いた。


「とにかく、大至急呼び戻せ! そうでないと、この国が滅ぶ事になるぞーーー。」










「これは、これはラミア様、今日は洞窟の視察ですか?」


そう、今、私は<辺境の地>に多く存在する、その中でも町に近い洞窟に来ている。この地の洞窟には、<魔糸石>と呼ばれる魔石が発掘できる。<魔糸石>とは、魔力を注ぐと糸が出来る石で、糸が出なくなっても、数年で又出るようになる貴重な石で、それを元々も村人の男衆が発掘し、女衆が、反物に加工している。この反物は、着る人が魔力を注ぐと色が変わり、刺繍が入ると、まさに美しい反物で、この町の住民は、これで衣服を作っている。


「住民の殆どが和服だからなあ」


因みに、ラーファイド王国やエルフの国でも人気らしく、以前、調査に行ったアマゾネスの男衆が「すごい高く売れる。」と言うことで、諜報活動費に反物を持って行くようになった。


だが、最近は需要が多いのか、沢山の反物を持って行くようなので反物作りは、かなり忙しいようなんだよね。










そして、視察をしていると、ドーーーンと言う音と、地震のような揺れを感じ、慌てて洞窟をでると、町の方から、土煙がたっていた。

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