第5話既に有名人でした

「なぜ、御劔・亜門の名が出てくるのですか?」


その質問に、ドリトルは過去を思い出す様な表情で答えだした。






「かつて、この国がラーファイド帝国だった事は知っているかい?」


ドリトルの言葉に、頷くと話を続ける。


当時、帝国では、皇帝や貴族の腐敗政治が出回り、私腹を肥やし、帝国兵士と言う名の盗賊団が強奪、強姦、殺戮の毎日だった・・・・。


国民は、下を向き、生きる希望も見いだせない状況だった。「私は、その時、一介の冒険者で、帝都で魔物を刈って暮らしていたんだ」


そして・・・。あの日、私が帝都に帰って来たとき、町から煙が上がっているのが見えた。急いでもどるが、城門には誰もいなかった。中に入っても一般エリアには変化はないが、人々は、慌てふためいて、逃げまとっていた。


そして、城があった場所に行くと、景色が一変した。


おびただしい数の死体と瓦礫の山々できていて、その中心に一人の男の姿があった。「その時の様子は、今も、はっきりと覚えてるよ・・・」


腰まである黒い髪を毛先で縛り、黒く鋭い瞳、白い和服に、黒い袴、腰には黒い刀を携えた、一人の男。


その様子は、まるで、すべてを破壊しつくした鬼神のようだった。そして、その鬼神が私を見つけ話しかけてきたんだ。


「いや~、ちょっと、やりすぎたかも~。キミって冒険者だよね。帝国は潰したからね!明日からは王国になる予定だよ~。復興は大変だろうけど、よろしくね~」っといって去ろうとするのを呼び止めた。


「おまえは何者なんだ?なぜ、こんなことを・・・」とたずねると、


「わたしは、御劔・亜門だ。御劔流・・・いやっ、蛇龍御劔流の御劔・亜門だ!この国は極悪非道の限りを尽くし、尚、ここにあってはいけない物にまで、手を着けた・・・。ゆえに、滅ぼしたんだよね~。まあ・・ほとんど八つ当たりなんだけどね・・・。まあ、王さまと、一部の貴族には脅しをかけておいたから、少しはマシな国になると思うよ~。それじゃ~ね~。」


そう言って姿を消した。


その後、生き残った国王と貴族が私財を投げ出してこの国を王国として復興していった。








「だから、国民の間では[英雄]で貴族の間では[死神]の二つ名を持つ物なのだよ。蛇龍御劔流の御劔・亜門の名前はね。」なんと、英雄?死神?なに?って感じなんだけど~。


そして、今度は私をみて、「その亜門と同じ御劔の名を持つ者があらわれた・・・っと言うことだよ。」


あ~~、帝国潰した時のことだ~。だけど、なに、そんな軽いノリで話してんのよ!ってか、お兄ちゃん流派はバレているけど、名前はバレてないって言ってたじゃない!思いっきり名乗り揚げてるんだけど・・・。これだと名前だけで目立ってるじゃない~~~~。

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