第20話 正義と天秤③

 二人の前に現れたのは、とある神話に出てくる天秤を持った女神のような星霊だった。


 美しく、気高い雰囲気を醸し出す星霊は静かに、しかし、力強く天秤を振り下ろした。


 空気が一気に凍りついた。クリスティーヌが作り出した水の壁は凍り付き、砕けた。


「正直相性が悪いな。しかし、所詮2対1だ。レオ、先陣はおまえに任せる」


「ああ、任せろ。毎回毎回バックにばかり回されていて飽きていたんだ。それに氷なら俺の炎で溶かしてみせる」


 金色の立髪を持つライオンの姿をした星霊、レオは走った。


 レオの毛並みが炎に変わり、猛スピードで相手の星霊に向かって行った。


 相手の星霊は手に持つ天秤と氷の力でなんとかレオの攻撃を凌いでいた。


 しかし、氷は炎により溶かされてゆく。


 クリスティーヌの水の攻撃が追い討ちをかけるように襲う。


「テミス!」


 テミスと呼ばれる星霊のパートナーと思われる大学生ぐらいの女性が叫んだ。


 テミスの持つ天秤がレオの攻撃で弾き飛ばされ、その場に跪いた。


「おまえの負けだ。俺たちのパートナーはお優しいから、トドメはささない。さあ、この場から去り、二度と戦いに挑むな」


 レオはテミスを見下ろし、威嚇した。


 勝った。そう、蓮は思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る