第5話 これから
「まあ、こんなところだ。星霊同士やテネブラエと戦うときは、さっきみたいに"ステラフィールド"を発動しなくてはいけない。本来ならハートの女王と戦うために作られた空間みたいだが、今ではライバルを蹴落とすために使うやつらもいる」
「安心しろ、少年。ステラフィールドにはバトルモードと、この空間のように絶対安全な空間を作り出すプライベートモードがある。今は安全だ」
「...。まっ、待ってよ。そんな漫画やラノベの世界じゃあるまいし。星霊?ハートの女王?一体何なんだよ、それ。そもそも僕は星霊とやらと契約なんかしてない」
話を聞いても頭が混乱するばかりだった。先ほどの出来事といい、一体何なんだ。頬をつねっても痛いだけで、どうやら夢ではないようだ。
「そこなんだよ。星霊と契約をしない限り、星霊を見ることも、ステラフィールドに入ることもできない。契約をした場合のみ、アプリのアイコンが紫色に変わる。星霊と契約どころか、アプリのインストールさえしてないおまえが何故、こんなことになった」
蓮は腕を組み考え込んでいた。
「だが、このままだと他の星霊と契約者に狙われるかもしれない。テネブラエだって襲ってくるかもしれない。なあ、アプリは起動できるか?」
「あ、ああ。やってみる」
優仁はアプリを起動した。すると、そこにはライオンの絵が描かれ、"Leo"と表記されていた。
「起動はできるみたいだな。とりあえず、フレンド申請をする」
「待て、蓮。フレンドだと?この訳のわからない少年とだと?足手まといになるに決まっている。私は反対だ」
クリスティーヌは怒りだした。
「このままじゃあ、優仁の身に何が起きるかわからない。大丈夫だ、クリスティーヌ。俺が必ずお前を星霊王にしてやるから」
「え、えーと。そのどういうこと?」
「このアプリにはフレンド申請というものがあって、チームを組むことができる。チームを組めばお互いの居場所の把握や仲間同士の攻撃ができないようになる。優仁には星霊がいない以上、他の星霊から攻撃を受けた場合、太刀打ちできないだろう」
「でも、それじゃあ蓮の負担になるんじゃ...」
「この戦いを途中退場するには星霊が戦いで負けるか、契約者を再起不能にする、もしくはスマホを壊すしかない。」
「じゃあ、スマホを壊せば...」
「自分で自分のスマホを壊せないんだ」
「だったら蓮が壊してよ!あんな怖い目にまた遭うなんて嫌だよ」
「だが...」
するとクリスティーヌが優仁のスマホを奪った。
「少年の言う通りだ、蓮。星霊が出てこないということは相手は戦意喪失しているのだ。強制的に退場するほうがこの少年のためでもある」
クリスティーヌは手に持ったスマホを壊そうとした、その時。スマホから火が出て燃え始めた。慌てたクリスティーヌはスマホを投げ出した。
「壊せないだと?そんな馬鹿な」
蓮は投げ出されたスマホを優仁に返した。
「いいか、優仁。スマホを壊せない以上、おまえはこの星霊戦争の参加者だ。ハートの女王探しよりライバル消しに躍起になってるやつらがいる。そんなやつらに星霊が現れないおまえはかっこうの獲物だ」
蓮は優仁の肩を掴んだ。
「大丈夫だ。今度こそおまえを守ってやる」
蓮は真っ直ぐ優仁を見て言った。
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