夜中に救急車がやってきた!

 昨晩、娘たちを寝かしつけてから、どーれ私も寝ようかな、と思った矢先。家の近所までやってきた救急車の音が止まりました。おう。これは近所かな? 


 ところがどうやら我が家の裏手が騒がしい。キッチンの窓から覗いてみると、やっぱり裏の家に救急車が到着しています。裏には借家の一戸建てが二軒あって、どちらも一人暮らしの男性が住んでいますけれども、その一つ、高齢者のじいさんの家にやってきた模様です。


 班長をしていたもので、その家に住んでいる人がどういう人かは承知済み。確か、介護保険のサービスも使っている耳がすっごく遠い腎瘻のおじいちゃん。町内会の役員からは「〇〇ちゃん」って呼ばれてみんなに見守られている人です。表札には、この人ともう一人男性の名前があるから、父親の代からここに住んでいるのでしょう。 

 

 これはやばい! と思ったら、職業病が出てしまって、いてもたってもいられません。すぐさまパジャマにコートを羽織って出動です。


 救急隊はすでに家に入っていて、台所でじいちゃんが座り込んでいるところへ一生懸命に話しかけています。しかし、全然話が通じていない。ともかく耳が遠い方なんです。班長をしていたころも、普通に訪問したのでは聞こえないので、お邪魔する日時を紙に書いてポストに入れておくほど。

 

 隣の班長さんが災害時要援護者の台帳を持参してきて、生年月日とか、名前を救急隊に伝えてくれました。本人、立ち上がれなく座り込んでいますがにこにこ笑顔を見せています。思ったよりも元気そうだけれど、きっと転んで圧迫骨折か、大腿骨の骨折じゃないかと思われます。まったく動かないからね。


 この方の救いは、電話が床近くに置いてあったことでしょう。別なケースでもありましたが、転倒して骨折をした場合、大概の人が起き上がれないんです。なので、電話が高いところにあると、届かない。痛いのにそのまま家人が帰宅するまで我慢していた、なんて人もいました。年を取ったら、スマホ、電話などの連絡手段は棚の上に置かないほうがよいようです。


 救急隊がじいちゃんの様子を観察している間、テーブルの上にある介護保険のプランを発見。ケアマネジャーがどこの誰だかを役員さんに伝えて電話をしてもらったり、薬や保険証を袋に詰めたり、鍵を見つけたり。入院の準備です。あーあ。やっちまったよ。突然、他人の家に行って、勝手に上がり込んで、家探しとは! 仕事ならまだしもね。まずいよね~と思いつつ緊急事態だと自分に言い訳。


 結局、そのじいちゃんは近所の総合病院がかかりつけで、訪問看護もお願いしているから、すぐに夜間救急でみてもらえることに。難なく搬送されていきました。ほっとした~。


 救急車が必要になった時って、本当に慌てますよね。仕事柄、救急隊はよくお願いしますし、搬送の手伝いもします。


 救急車が必要になったら! まずは119をする前にかかりけ医に電話を入れおくとスムーズなことがあります。救急隊も万能ではなくて、到着してから搬送先を探します。こちらで「〇〇病院と話がついてます」と伝えると、スムーズに運んでもらえるわけですね。総合病院でも夜間帯となると当番の先生が専門じゃないと断れることも多々ありますね。


 救急隊が近づくサイレンが鳴ったら、目立つ場所まで出て誘導してあげるとスムーズですね。「こっち、こっち」と腕を振って誘導します。「この先袋小路です。バックで入ってください」など指示をするとなお○。


 持っていくものは、保険証関係(健康保険証、医療の受給者証等)、他に介護保険関係のもの(高齢者の場合)や、身体障がい者手帳も持参します。お薬手帳、内服薬などもあると便利。


 今時は入院になればアメニティがあるので大きな荷物はなくてもなんとかなります。が、入院にならなかった場合に困るのは靴ね! 行く時は救急隊に抱えてもらって行くことが多いけれども、入院にならない場合、外来で応急処置をされて帰宅という流れ。そうなった時に一番困るのがくつですね。病院のスリッパを借りて帰ってくるしかありません。そうすると「返せ」と言われることも。面倒です。靴は持っていきましょう。


 なるべく救急隊のお世話にはなりたくないものですね。震災の時は病院をたらい回しにされましてね、何度も救急隊にお願いしたもので、「またあんたたちなの? ガソリンないんだからね」って怒られたことを思い出します。だってー、病院が悪いんだい。おらのせいじゃなもん!


 朝になってからも帰ってこないようだし。じいちゃん、無事に入院したのでしょう。起きてから、娘たちに昨日の顛末を話して聞かせると「えー、おらたちも行きたかった!」と怒られました。いや、遊びじゃないんだけれども。子どもからしたらお祭り騒ぎなんでしょうね。じいちゃん、大した事ないといいんだけどな。早く退院できることを祈ります。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る