我が家の名物娘に恋の予感?



 なんだか急に寒いですね。いつもだったら、残暑厳しい時期なんですが、朝晩はエアコンの暖房ボタンを押す毎日です。——え、そんなに寒いの? って話ですよね。

 いや。正直言うと寒いですが、本来は暖房をつけるような気温ではないんです。しかしですね。我が家の名物娘(長女)は、未だにランニングとパンツ一丁の恰好で闊歩しておりまして、「寒い」と言うんです。上着を着なさいよって話ですよね~。


 彼女のエピソードはここで、たくさん語っているわけですが、先日もね、してやられました。100円ショップに行ったんです。二女が消しゴム欲しいって言うので。で、目的の消しゴムを見てみると『200円商品』と書かれているんです。クラスの子も持っているというので、致し方ない。買ってあげましょう。私は姉妹で差別化をするのは極力避けたいので、長女には「二個買っていいよ」と伝えました。


 娘が商品を選んでいる間、私は自分の欲しいものを物色。そのうち、長女が「お母さん、これ」とポーチのようなものを一つ、籠に入れました。


「二個いいって言ったじゃん」


「あ、そうだった。消しゴムも買おう~」


 そして選んできたのは、なんと。『砂消し』。


「あんた、これどう使うかわかってる?」


「ううん。ペンケース平べったいからちょうどいいかと思って」


 ——ノートが穴開くぞ。


 結局は四個入りの消しゴムに変更をして、無事にレジへ。ところが——。お会計が始まると、レジのお姉さんが、娘のポーチをぴっとして「300円商品です」って言うんです。


「え!」


 私の言葉に、お姉さんも弾かれたように「え!」って。それから「大丈夫でしたか?」って問われました。ここまで来て、「返します」とは言い難い。隣で気まずそうにしている娘に「おい」と言うと「だって……書いてなかったし」。


 いやいや。嘘だ。会計を済ませて、商品を物色すると、堂々たる『300円商品』の表示。道理で、裏向きに籠に入れたわけだ。


「お前よお」


 本当にちゃっかりしています。結局は妹よりも高額なものを購入するというちゃっかりさ。付け足しで買った消しゴムは妹と半分こですよ。もう。本当に。


 そんな彼女ですが、実は恋の予感です。

 先日、吹奏楽の大会当日。五年生の金管担当の男の子のお母さんに声をかけられました。


「うちの〇〇。三日前くらいに寝言で『〇〇ちゃん、ほにゃらら』って寝言、言っていたんですよ~。もういつもお世話になってすみません」だって。


 おおお。なんだよ。それ。夢にまで見るって、どういうことだ! しかも。その男の子は、我が娘とお菓子の好みが一緒。先日の遠征時に持参してきたお菓子は我が子のおやつと丸被りですよ。どんだけ気が合うんだよ!


 大会から帰ってきた娘にその話をすると、なんと——ニヤニヤ。おいおい。まんざらでもないじゃないか!


 「付き合っちゃえばいいじゃん。あ~あ。私も彼氏欲しいー」と棒読みな二女(8歳)。なんだよ、なんだよ。今時の小学生は早いな!


 先日の大会では、すっかり打ちのめされた(いや。当の本人は『当然だ』と受け入れておりますが)娘ですが、毎日楽しく吹奏楽に通っています。

 あー、恋っていいですね! 私はもう懲り懲りですがっ!

 秋はロマンティックな気分に浸れるのでしょうか?




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