ゴシックから学ぶこと



 おはよーございます。ちょっと仕事が忙しくなってきました。毎年恒例、講師業務の時期ですし、同僚の一人が体調不良で長期休暇になる模様での業務負担の増加。それに加えて、ずっと募集していた職員さんの応募があり、私は十四年も座っていた席からのポジション替え……。

 盆と正月がいっぺんに来たという言葉がぴったりなくらい、忙しくなりそうな予感です。

 上司にね「嫌だ。席変わりたくない」と訴えたところ、「そういうことは、早く言えよ~。募集しなかったのに」と言われました。

 いやいや、言っていた! 前々から言っていたよ!!

 今度いらっしゃる新人さんは、私よりも十歳以上も年上だし。なにせ見た目真面目。面接にも立ち会ったんですけれども、妄想族で構成されているこの部署に馴染めるかしら?

 

 やはり「いつも同じではない」。良くも悪くも——ね。環境が変わることにとてつもないストレスを抱える私なもんで、しばらくは落ち着かない日々になりそうです。



 さて、タイトルの「ゴシック」。今ですね。「ゴシックの解剖 暗黒の美学/唐戸信嘉著」という本を読んでいるんです。図書館の新刊コーナーにあってですね、何気なしに手に取った本でした。しかし、この目まぐるしい忙しさで、延長したのに、結局は半分くらいしか読めないという。また借ります。面白いから。


 この本は「ゴシック」という名前の由来から、作者自身が重要視するモチーフ「吸血鬼」「人工生命」「分身」「廃墟」「地下」の五つについて、どのような歴史的、文化的背景から生まれたのかの経緯をたどりながら、その思想、メッセージ、そしてイデオロギーを解明していくというものなんです。

 

 この五つのモチーフって、夢見る少女時代、誰しもが夢中になるようなモチーフですよね(え? 違う? 中二病ですか?)

 自分自身が感覚で生きている人間なもんで、「好きは好き。だからなに?」ってタイプなんですよ。でも、こういう書籍を読み進めると、「はあ、だから人を惹きつけるんだ」とか、「へえ、こんな社会的思想が反映されているのね」などなど。気が付く点が多々多し。

 先日読んでいた、「魔術的芸術/アンドレ・ブルトン著」も然りですが、人を惹きつけるワードや、モチーフって、雰囲気で使うのもいいんだけれども、それがどういう意味があって、どういう背景を持っているのかって言うところまで知っておくと、なお面白く活用できるのだなあと思います。


 ゴシック様式の聖堂建築を目の前にして、人間が抱く、あの微妙な感覚。美しいし、聖なるものなんだけれども、どこか怖いような。本文中では小泉八雲のエッセイを取り上げて、そのあたりを詳しく書いてあったりして、「はあはあ、なるほどね」と、腑に落ちる。「霊的なものへの憧憬」と同時にどうして「恐怖心」や「不安」を抱くのか。これは宗教学者ルドルフ・オットーが「ヌミノーゼ」と呼んだ体験に違いないということです。

 ゴシック建築には天高くに伸びていく塔が欠かせませんが、それらは、神聖なる神、非人間的存在への憧れからくるものだということです。憧れの先にあるのものが、非人間的であるが故に抱く恐怖心や恐れ。それをヌミノーゼと呼んだようですね。

 「死」がどうして暴力的に感じられるのか。「吸血鬼」の持つ暴力的なエロティシズムの魅力の理由。ドッペルゲンガーは死を回避する方法としての分身。地下は死の空間、などなど。


 なるほどなるほど。なんとなく自分が覚える感覚を、こうして文書で読み解いていくと、「違うような」ということもあれば「腑に落ちるな」ということも多い。

 

 文を書くということは雰囲気で一気に書いちゃうことも多いんです。しかし、カクヨムで作品を公開していると、さまざまなコメントを頂けますよね。すると、作者が意図していたわけではないところに鋭いコメントを頂いて驚くことが多いです。

 自分では無意識なんですけれども、そう言われてみるとそうよねえ。みたいな。もう少しちゃんと意図的に書かないといかんですね。ちょっと仕事忙しいけれども、頭フル回転させて執筆にいそしむことといたします。


 これからも図書館ぶらぶらして、気になった本、いろいろと読んでいきたいと思います~。みなさんもおすすめ本、あったら教えてくださいね~。



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