キャラクターづくり その③【家系図を駆使しろ!】



 前回は、つい横道にそれました。キャラクターづくりについて。BL読者についてのコメントまでいただきまして本当にありがとうございました。BLってね奥が深いんですよね。


 先日、私の大好きな漫画家、西炯子さんのドキュメンタリー「漫勉neo」を録画しておいたやつ、やっと見ました。恋愛漫画家として、キャリアも人気もある方ですが、もちろん。なぜ好きになったかと言えば、ルビー文庫の代表作。富士見シリーズの挿絵を描かれていたからなんですよね。

 西さんの描く男子ってセクシーで男の色気ムンムン。もう若かりし頃の私は彼女の描く男子たちに夢中でした。

 その中で「恋が成就するまでは恋愛漫画。成就した後は女性漫画」って話があって、「ああ、なるほどね。やはり成就するまではキュンキュンなんだろうな」って。西さん、「だから恋愛漫画を描いていたい」っておっしゃっていて、なんだか妙に納得しました。BLも然り。成就するまでのなんやかんやって、やっぱりキュンキュンポイントが多いんだろうな~。さあ、読者のキュンキュンスイッチを押せるように努力していかなくてはいけませんね! ってまた脱線。


 今日はキャラクターづくりその③。図表を駆使しろ編に入らねば……。


 前々回、私のキャラクターづくりについて書いてみました。詳細なプロフィールを設定するのだ、ということです。で、今回はそのプロフィールに追加する情報として、家族構成と間取りを図表で書いている話を書きたいと思います。


 えっと仕事柄、人を理解するときに使う手法なんです。業界では家族構成をジェノグラムと呼んでいます。家族の関係性を見るために書くものなんですけれども、私はこれを書くのがクセで、相談が来ると、その場で書きながら話を聞くんですよね。もともと活字が苦手で、画で物事を理解するたちですので、私の場合は、こういう図式を書くとより理解がしやすいんです。


 ※ジェノグラムはこちら

 資料1「田舎犬・都会猫」田口家

https://twitter.com/ki_usako/status/1391582452187947008?s=21

 資料2「田舎犬・都会猫」保住家

https://twitter.com/ki_usako/status/1391582530793459714?s=21



 これを書く場合、主になるキャラが中心に来ます。で、それを核として上下二世代分くらいを付け加えます。田口や保住の場合、自分たちはBLカップルで子どもがおりませんので、下の世代は当然書けませんが、兄弟は書けますので、書けるところまでは書きます。


 こうして図式化してみると、両家の色合いが違うのがよくわかります。

 保住家は元銀行員の祖父と、市議会議員の娘である祖母から始まり、次男、孫たちが銀行に勤めているという設定です。銀行員一家の中、父親に反発をして別の道に進んだ保住の父親の姿が見えるのではないでしょうか。叔父である二男は、比較的父親には反発心なかったのだろうということも予測できます。

 祖母は早くに亡くなっています。祖父は、仕事も忙しく家庭のことをマメに顧みる立場ではありませんので、保住の父親とその弟が満たされた家庭環境で育ったかと言えば、そうではないということが理解できます。そして、そんな父親を見て育った保住の父親もまた、家族にどう接したらいいのか、わからない人だったのだということも想像がつきます。


 一方の田口家。農家一家です。祖父も父も農家。長男は農協に勤務し、妻は農業試験場。父は町議を務めているという設定は、地元でもそれなりの豪農であるということを表現しました。

 ところが、二男は大手企業。田口は他市で公務員。祖父、父、長男というまとまった流れから外れている二男と田口は、色合いが違うのだろうということがわかるのではないかと思います。

 特に二男は、本編にもまだ顔を出していません。男三人兄弟の関係性が、ここでなんとなく感じ取ってもらえるのではないかと思います。で、更に。田口の叔父にあたる人物は東京在住の設定です。二男は叔父を頼って東京に出たのではないか? という想像も一つ、ここで湧き上がって来るということになります。


 という具合に、家系図を書いてみると、そのキャラが育ってきた家庭の歴史が浮かび上がってきます。そして、そのキャラの背景が確定すると、キャラの性格もおのずと固定されます。

 例えば、保住家。厳格な祖父と対立する長男(保住の父)はきっと、祖父と似通った性格であり、生真面目で不器用であるということ。それに反して、その厳格な父親と同じ道を歩み、要領よく生きている二男(保住の叔父)は、人当たりもよい、きっと祖父とは違ったタイプであるということ——つまり二男は祖母似。

 親子って似たタイプは上手くいかないものです。父親が苦手だという子どもは、父親に似ている。母親が苦手だという子どもは母親に似ている。なので、親子関係がうまくいかない設定をする場合は、性格をそっくりに作るように心がけています。


 だらだらと書いてみましたが、ジェノグラムを活用すると、こんな家族関係がよく見えてくるというお話でした。ああ、家系図だけでもう2000文字に達してしまった。他の図表については次回。


 ちなみにジェノグラムには書き方のルールがあります。自分がわかればいいものなので、ルールなんてどうでもいいんですけれども、興味がある方は、ネットで検索してみてください。つい先日、双子の書き方を見て、「さくらんぼみたいでかわゆい」と思った私です。

 更に進化するとですね、ここで関係性を二重線で入れたり、ギザギザを入れたりもすることがあるんですけれども、まあ、そこまではいらないと思います。




 

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