キャラクターづくり その①【プロフを設定する】


 いやあ、大型連休が終わりました。やっと——やっとです! もう疲れ切りました。ゆっくり読書をして……なんて夢は儚く消え、子供たちに振り回され、吹奏楽保護者会の総会資料作りに追われ、ティンパニーやチャイムを三階から一階に運ぶ日々……。辛い大型連休でした。今日はそんな自分へのご褒美お休みです。


 前回のエッセイで「キャラクターづくりについて書いちゃうもんね」なんて大見えを切ったくせに、あれからずっとエッセイの更新が滞っておりました。と、いうことで、さっそく書いてみようかと思います。


 小説を書く際、「エピソードが先か」「キャラが先か」問題がよく論じられます。私の場合は、そもそもの出発地点の段階では、どちらかと言えば「シチュエーション、舞台設定」が先になります。例えば、カクコン6に参戦をした「流刑地音楽ホール」の場合。

 まずは「音楽ホールを舞台にしよう」という発想から出発しました。「音楽ホールであれば、職員と利用者である音楽家との交流がいい。ホール職員は中堅以上よりも、新人のほうが右往左往して初々しいのでよい」。ということで、主人公の熊谷蒼が誕生したわけです。

 次に決めるのは、相方です。BLの場合は、必ずカップリングが必要なもので、相手役も大事。「音楽ホールを利用する人間と言えば、プロからアマチュアまで多種多様であり、専門とするジャンルも多種多様」。外国人×日本人というシチュエーションはなかなか乙ですが、そう頻繁に出会える設定ではありません。ということは、相手役は日本人。そしてこちらも、なにかを大成しているのではなく、主人公と一緒に切磋琢磨をして歩んでいける対等な関係が良い——ということで出てきたのが関口けいという、「才能はあるけれどもうだつの上がらないヴァイオリニスト」です。

 

 核となるキャラの輪郭が決まれば、後はどのキャラも同じ作業を行います。

 

 彼らのパーソナル情報を詳細に決めるということ——であります。


 私の場合、キャラクターには現実にいる人間と同様な情報を与えるようにしています。生年月日、血液型、身長(これBLでは特に大事)、経歴(出身地や学歴)、家族構成、好きなもの、嫌いなもの、趣味等々です。


 例えば……熊谷蒼(雪うさこワールド攻略本より抜粋) 

 経 歴:梅沢市生まれ。母親は私生児である蒼を出産し、高級クラブで生計を立てていたが、当時の客である父親と知り合い結婚をした。梅沢第二小学校、梅沢第二中学校、そして梅沢高等学校卒業後、隣県の国立大へ進学。部活動には所属していない。

 現 職:教育委員会星音堂(新任)

 誕生日:3月28日

 年 齢:22歳 初登場時

 身 長:166cm

 血液型:O型

 容 姿:濡羽色の瞳と髪。やせ型。

 趣 味:寝る、食べる、読む。

 好きなもの:本、温泉、日本酒、きまちゃん(母親購入のぬいぐるみ)

 苦手なもの:熊谷家の人々

 性 格:人当たりのいい雰囲気を持つが、自分に自信がない。好奇心旺盛なところがある。頑固。

 家 族:熊谷 栄一郎(熊谷医院長)

     熊谷 空(専業主婦・長い間精神科病棟入院中)

     熊谷 陽介(県立医科大学病院勤務)

     熊谷 啓介(大学生 農業系)

     *本当に父親は不明。


 ってな具合になります。このように、各キャラには大概、最低限にこのような情報を付加することで、人となりを決定します。


 人間とは常に同じ顔をさらしているわけではありません。年代によって、日によって、極端に言えば、分刻みで心の中は変化し、相手に与える印象も刻一刻と変化しています。それを作品の中でも取り入れていきたい。そのために、どのキャラにも二面性のようなものをくっつけていく作業をしていくわけです。


 人には元来持っている性質の他に、育ってきた環境によって培われるものがあります。蒼の場合は、「好奇心旺盛。頑固」という部分は元来持つ性質。「人当たりがよい、自分に自信がない」という部分は環境によって培われたもの。


 蒼は家族との関係性が希薄です。本当の父親は不明。大好きな母親との関係性も、幼少時代に歪んだものになってしまいます。他人の中で育った彼は、人に愛想を振りまき、人との関係性を円滑に築く術として「人当たりがよいキャラ」を獲得します。その一方で、根っこに存在しなければならない母子愛着の形成がうまくいっていないおかげで、安全地帯を持ち合わせていないために「自分に自信のない子」に成長したという設定です。


 私のキャラの性格形成には、家族との関係性、育ってきた環境等の設定が大きな影響を与えているため、どのキャラにも「家族」というキーワードが絡んでくるのかも知れません。扱っているのは中年キャラばかりなんですけれども……家族の出番が多いのが特徴であるのかも知れません。

 大雑把にカテゴリーわけをしてみると、以下の通りになります。


 パターンAタイプ。愛情いっぱいで、自分の人生は幸せであると疑わないタイプ。このタイプは仕事で困難にぶち当たっても、確固たる(多分、幼少期に培われた安心感)を持っているので、挫折しながら乗り越えていきます。私の作品で言うと、田口(田舎犬)、大堀(田舎犬)、天沼(田舎犬)などです。


 パターンBタイプ。両親(もしくはその他の家族)との愛着形成がうまくいかなかったり、確執があるタイプ。自分を卑下する、自信を喪失している、嫉妬深い、猜疑心が強い、人と自分を比べる、などなど様々な負の反応を示すタイプ。このタイプは困難に対して防衛反応を起こします。人のせいにする、攻撃的、逃げる、無頓着などです。Bには、私のキャラの大変が該当します。世間一般から見ても、人口割合的に多いタイプではないでしょうか。保住(田舎犬)、安齋(田舎犬)、十文字(田舎犬)、澤井(田舎犬)など。


 パターンCタイプ。AとBの中間型。家族関係はそう悪くはないが、抑圧されてきたり、思うように行かない人生を送ってきたため、パターンBのようにやさぐれた人間になる。このタイプは、恵まれているのにそのことに気が付かないため、周囲には迷惑がられるタイプ。実篤(夜伽)。


 例外型。どれにも当てはまらない人間を超越している不思議キャラ、もしくは天然キャラ。雪(夜伽)など。


 元来の性格、「熱血型」「ほのぼの型」「冷静型」「マイペース型」などに、これらを掛け合わせることで、タイプのバリエーションを広げていきます。



 このあたりまで設定ができれば、後はそのスパイスを物語に入れ込んでいくという作業に移っていくことになります。


 とまあ、みなさんが取り組まれているキャラづくりとなんら変わり映えのしないような作業ですが、もう少しお付き合いくださいね。次回は「図表を駆使する」です。

お楽しみに笑!



キャラクターのプロフを公開しております。

「雪うさこワールド 攻略本」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054916140271

 ↓

 こちらは、ヲタクが喜ぶヲタクのためのヲタク本を真似して作っているような資料になります。昔、好きな漫画のファンブックを隅から隅まで読み漁るのが好きでした。ヲタクとはすなわち、すべてを知りたい! そんな趣味の世界から生まれた自分勝手なファンブックです笑



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