将来の夢と漫画


 将来の夢…っていい響きですよね。水ぎわさまのエッセイでこのテーマがあげられていて、ふと「将来の夢か~」と考え込んでしまいました。昔から、夢はいろいろ。一つの夢をずっと追い求めて、それを成し遂げた方に出会うと、「本当にすごいな」と感嘆の声しか出ません。というくらいに、私の夢は昔からコロコロと変わっているものでした。


 幼稚園の頃は、まあ無難に「ケーキ屋さん」。理由は「ケーキが好きだから」。小学校に入って、「お花屋さん」。理由は、叔母が花屋を経営していて羨ましいと思ったから。

 小学校高学年の頃の夢は「考古学者」。理由は、大好きな漫画「王家の紋章」の影響。この漫画大好きなんですよ。エジプトの歴史も好きだし、なにせラブロマンスがすごい。今現在のラブロマンスの基礎は王家の紋章です!当時、クラスメイトに大人びた子がいて、お姉ちゃんの漫画を見せてくれるんです。「りぼん」や「なかよし」を読んでいた私からしたら、その漫画はすっごく大人でドキドキワクワク。「王家の紋章」、「パタリロ」、「悪魔の花嫁」、「エロイカより愛をこめて」とかね。他に「ガラスの仮面」、「ベルサイユのばら」でしょうか。「あさりちゃん」とかも流行ったな……。「アリーズ」って漫画もあって、ギリシア神話をモチーフにした転生もの。クラスみんなで占星術にはまった記憶があります。

 ともかく、将来の夢はその時に読んでいた漫画に左右される人生がスタートしたわけです。「考古学者」、「イルカの調教師」、「占い師」、「演劇関係の仕事」、「スパイ」、「ポケモンマスター」等々……。正直に言うと、現実味がない、夢見る空想世界でした。

 しかし現実は、小さい頃から母親に「あなたは音楽をやりなさい」と言われて育ちました。母親は、自分が音楽ができなかったので、子に託したいと思ったようです。

 四歳からピアノを習い始め、中学校進学時に、「音楽学校に行くこと」と言われ、なんの疑いもなくピアノで高校を受験。なんとか音楽学校に進学をしたものの、やらされ感半端ない、練習嫌いな私が成績が上がるわけでもなく、いつもクラスで最下位

争い。もうひどい有様ですよ。親の引いた線路に乗っかって、音楽をやってきて、やっと「私はパイプオルガン奏者になろう」と心に決めた瞬間、我が家は自己破産。そして、あっけなく音楽の道は終了し、現在の医療職の道に入ったという次第です。

 そう考えると、自分の人生って、漫画や人に左右されて、本当に自分がなりたかったものってなんだったのだろう?と首を傾げるばかり。小さい頃から、自分というものが曖昧で、人からの意見に左右されがち。だから、何者にもなれる……。


 「将来の夢」と聞いて、なんだか書きたくなったので、書いてみました。

 自分の反省点を踏まえ、わが子らには、一つのことは押し付けるつもりはありません。世の中にはいろいろな仕事がたくさんあって、いろいろな事ができるよってことは教えたい。私のように、狭い世界でだけ生きてくると、好きな仕事を選ぶのって難しいのです。図書館ではよくお仕事の本を借りさせます。選択肢を知らないと夢って広がりませんもんね。だけど、あまりにも市役所の話が多い我が家。娘の最近の興味はもっぱら「街づくり」。自分が住むこの町をもっとよくしたいと言い出してます。将来は公務員になりそうな予感。

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