第3話

 マナとのデート?みたいな感じで国に向かう。

「そういえば、なんていう国なの?」

 涼真が思い出して問いかける。

「…イシュタル王国」

(イシュタルってどっかで聞いたこと…)

「もしかして、マナって王族とかそんな感じ?」

(ズバッと聞き過ぎたかな?)

「……王族だった」

(『だった』ってことはそうゆう事だよな?でも、ここで入りすぎたらこの後の関係が崩れるよな……よし!)

「王族じゃなくなった理由とか聞いても良いかな?」

 涼真は、聞くことを選んだ。

「………………」

(選択ミスったか?でも、大抵こんなのは「先に聞いとけば良かったー」ってなるからな…)

「…………いよ」

「なんだ?聞こえないぞ」

 マナはすごく考えているように見えた。

「話してもいいよ」

 マナは期待の眼差しを向けながら少し苦しそうに思えた。

「ほ、ほんと!?ありがとう」

 マナは「うん」と小さく頷いてから話し始めた。

「なるほど、それは難しい問題だな…」

(要約するとだな、イシュタル王国には昔からの伝説があって『魔族の血ひくもの魔王の生まれ変わり』っていうのがあるんだ。そして、マナは魔族の血を引いているんだけど魔族特有の『魔化まか』っていうものが発症していないんだ。つまり、魔族の血を引いてるけどまだ魔族ではないって感じだけど魔王の生まれ変わりの可能性があるから、国を追放されたらしい。って俺は誰に説明してるんだ?まぁ、いっか。)

「俺になんか手伝えたりする事がある?」

「……何も、出来ない」

 マナは「ごめんなさい」と小さく呟いてから去って行こうとする。

「ちょっと待てよ!!」

 涼真はマナの手首をつかんで止めようとする。その瞬間…

 マナの周りから魔方陣が浮かび上がってきて

「う、うぁ“ぁ“ぁ“く、ぁ“ぁ“ぁ“っ」

 マナは叫びながら悶えていた。

 さらに、数10分叫び続けていたが途端に止まった。そして、涼真の方に倒れかけた。

「お、おい!大丈夫か!おい!」

 涼真が何度呼びかけても起きなかった。

 そこから30分くらい眠っていたマナが目を開け始めた。

「大丈夫か!マナ!」

 涼真は声をかけ続けた。

「……りょうま?」

 マナは意識はもうろうとしているがなんとか持ちこたえたみたいだった。

「そうだ!涼真だぞ!」

 涼真は安心の余り息をつく。

「おのぉ、ちょっと聞いてもいいかな?」

 涼真は申し訳なさそうにたずねる。

「なにかな?」

 マナは涼真の雰囲気から少し戸惑っていた。

つのが穿いてるんだけど、これは?」

 涼真が口にした『角』と言う言葉を聞いた瞬間マナは、驚愕し、角を確かめる。

「ほんとに穿いてるんだけど…」

 マナはそう言うと泣き出してしまった。

「お、おい、どうした?いきなり泣いて」

 涼真は泣き崩れているマナのそばに近づいた。

「ぐすっ、っんとね、これは、……『魔化』が発症したってことなの。ぐすっ。」

(『魔化』ってどっかで聞いたことあるような………あっ!魔王の生まれ変わりのやつだっけ?そ、それって結構ヤバイ状況じゃね?)

「ま、マナ?大丈夫?」

 涼真はマナがどんな状況にあるのかだいたい把握しているのですごく心配している。

「大丈夫じゃない。……けど、ちょっとおかしい」

 マナは「大丈夫じゃない」って言っているけど、焦った様子はなかった。

「何がおかしいんだ?」

 涼真はマナの言葉にあった「ちょっとおかしい」ってところに疑問を持った。

「『魔化』っていうのは普通、自分の意思を持たないんだよね。でもたまに、意思を持ってる事もあるんだけど、その場合、失明したり、音が聞こえなくなったりと、体の器官のどれかが機能しなくなっちゃうんだよ。でも、私は何もならないのむしろ、感覚が研ぎ澄まされているような感じなの」

 マナの説明を聞いていた涼真がふと思う。

「それって、『魔王の生まれ変わり』なんじゃないの?」

 涼真に言われてマナは「はっ」とする。

「確かにその可能性はあるかもしれない。

 前に聞いたことがあるの。魔王はこの世に存在する生物の中で最も強いらしいんだよ。

 それに、魔王は誰も使ったことが無かった『超級召喚魔法スペルエボケイション』というのを使えるらしいの。」

(なんだそのかっこいい技みたいなのは!)

「じゃあ、その『超級召喚魔法』?っていうのをやってみれば分かるんじゃないかな?」

 涼真の言っていたことはごく真っ当な事だかマナの顔は優れなかった。

「その『超級召喚魔法』は詠唱が必要で、知っている人なんか極々少数なんだよね」

 マナは詠唱を知っている人が少ないとは言っていたが心当たりがありそうな顔をしていた。

「じゃあ、その詠唱を知ってる人を探すことを目標にしてみるか…」

 涼真はマナが何か知ってると思い、探す事に積極的だ。

「ありがとう。でもいいの?すごく大変だと思うけど…」

 マナは涼真の優しさに感謝はしているけど、すぐには承諾しなかった。

「それは承知のうえだよ。そ、それに、女の子が困ってたら助けるのが男ってものだからな!」

 涼真は少し照れくさそうだった。

「……分かった。じゃあこれからもよろしくね涼真」

「あぁ、よろしくマナ。」

 二人は魔王しか出来ない『超級召喚魔法』の詠唱を知ってる人を探すため、さらに冒険を

 繰り広げるのだった。

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