第4話

 今の目標である、『超級召喚魔法』の詠唱を知ってる人を探すため歩いているのだが…。

「ところでマナ?今どこに向かってるんだ?」

「イシュタル王国とはかなり遠くにある、

 アッシュール帝国に向かっているんだよ。」

 アッシュール帝国とはイシュタル王国と仲が良く、貿易とかも盛んでいる。

(たしか、イシュタル神のパートナーがアッシュール神だったような…)

「そこに行けば詠唱を知ってる人がいるって事か?」

 涼真は確認をするためにマナにたずねる。

「必ず会える可能性は低いけど、私がそのことを知ったのも、アッシュール帝国内で聞いた話しだったから、行ってみる価値はあると思ったの。」

 マナは可能性は低いと言っていたものの、

 絶望などはしていなかった。むしろ、自信に満ちあふれていた。

「まぁ、マナがそう言うんだったら良いんだけどさぁ」

 涼真は嫌な予感がしたのか、躊躇いがあった。

「???。じゃあ急ごっか」

 マナは涼真の返しにつっかえたが急ぐことを選んだ。

「なんでそんなに急ぐんだ?」

 涼真は「そんなに急がなくても…」と思いながら聞く。

「夜になると魔物が活発化してしまうの」

 マナはため息をつきながら喋った。

「でも、マナは『魔化』したからめっちゃ強くなってるんじゃない?それだったらーー」

 マナは涼真の言葉を遮って答える。

「確かに『魔化』すれば強くはなれる。でも、私は誰かを守ってあげる魔法とか持ってないから、なるべく魔物とは会いたくないんだよね。」

「涼真は魔法使えないの?」と聞いてみる。

「魔法使ったことがないから分からないなぁ」

 涼真は記憶を辿って答える。

「そう、じゃあ、魔法使ってみようか。」

 マナのそんな一言から始まった魔法の訓 練。

 とりあえず魔法を使える事が分かったが、日常的に使えるレベルではなかった。

「このぐらいなら子どもでも扱えるんだけどなぁ」

 マナはさらに考えることに。その一方涼真は。

「おぉぉぉぉ!魔法使えるぞぉ!」

 涼真は涼真で魔法を使える事にすごく興奮していた。

(錬成とかできないかなぁ?)

「とりあえず涼真は魔物が来たら

身体強化しんたいきょうか』して倒してくれるかな?」

 マナは涼真の使える事が出来る数少ない魔法の中から『身体強化』を使ってと頼んだ。

「分かった。けどさ素手で殴るのか?」

 涼真は一般的な高校1年生だけあって体はあまり鍛えられてなかった。

「そうだねぇ、『錬成』って言う魔法はあるんだけど、そこそこ難しいし、魔力も少し使うからね、涼真は出来ないかもしれないけど

 やってみる?」

 マナはそう言うと、バッグから鉄みたいなのが出てきた。

「なんだ?鉄か?」

 涼真は元の世界で見たことある鉄だと思った。

「そうだよ。よく知ってるね。っと話しを戻すね。『錬成』は詠唱がいらなくてね、逆に

『イメージ』が必要というか大事なんだよ。イメージを思い浮かびながら魔力を流す感じでやるんだよ。試しにやってみるね?」

 「こうっ!」って言ってマナはお手本のように鉄剣を作り出した。

「イメージが大事かぁ。イメージ、

 イメージ。」

(さて、何を作ろうか。鉄剣もかっこいいっちゃかっこいいんだけど、やっぱり銃かな?

 よぉーし、いくぞぉー。)

 鉄が赤白く光った。と思ったが

 元に戻ってしまった。

「あれ?今できてなかったかな?ちょっと待ってて。」

 マナは鉄に触れると、さっきみたいに赤白く光った。

「あれっ?」っと呟いた。

「どうした?なんかやっちゃったか?」

 涼真は顔をしかめて覗いてみる。

「いや、ちょっとおかしな事が起きてるんだよね。」

 そう言って涼真に鉄を渡して「もう一回やってくれる?」と言った。

「ん~っとこうか?」

 鉄はさっきと同じように光り、消えた。

「やっぱり。こんなの初めて見たよ」

 マナは感心したような呆れたように見続ける。

「ん?何がどうなったんだ?」

 涼真は何があったのか分からなかった。

「涼真、これはとても重要なことだからちゃんと聞いてね。」

 マナは真剣な眼差しを涼真に向ける。

「(ごくりっ)」

 涼真はマナの真剣な眼差しに動揺してなのか唾を飲み込む。

「涼真、あなたは、魔力の力が強すぎて制御し切れてないの。だから、さっきの『錬成』は失敗してしまったの。わかった?」

 涼真はマナが言ったことは理解できなかった。

「えっと~つまりどういうことなのかな?」

 マナは少し考えて答える。

「ほんとに簡単に言うと、自分の容量より多く持ってしまっていてキャパシティがオーバーしてるってことなの。」

 涼真はマナの簡単な説明からちょっと考えてやっと理解した。

「つまり、宝の持ち腐れってこと?」

 マナは「そう言うこと」っと淡々に言う。

「で、ここからが本番なんだけど、その宝を使い物にすることができるかもしれない人のとこに行くって方に目標を変えようと思うの。それでいい?」

 マナは涼真を使い物にすべきと考えていた。

「それでも良いけど、アッシュール帝国はいいのか?」

 涼真が聞くと、マナは「問題ないわ」と答える。

「そう?それなら良いけど。じゃあ行きますか!その人のところへ!」

 涼真は魔法がパワーアップすると思い張り切っていた。

「えぇ、そうしましょ。」

 マナからのGoサインが出たので出発する。

 マナと涼真は目標を変え涼真の有り余る魔力を解決すべくとある人物に会いに行くのだった。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る