第2話 妹の前でも
大村翔の家は決して裕福な家庭ではなかった。
彼の両親は共働きをしていて、帰りは遅い。当然、彼自身もバイトで生活費を稼がなければいけない。
それは必然的に家事が疎かになることに繋がっていた。
「まったく……、翔さんったらまたこんなに部屋汚くして……」
「ごめんね、メイさん。いつも掃除とかしてもらっちゃって」
「家事は趣味みたいなもんだし、家が隣同士なんだから別に気にしなくていいって」
「でも、迷惑かけてるからさ……」
「じゃあ、今度山行こうよ。道具は持ってるんだし」
「うん、わかった。でも、メイさんはそれだけでいいの?」
「いいのいいの。私は翔さんと一緒に行きたいなって思っただけだから」
大西メイは父親の転勤により、ちょうど入学式の一週間前に引っ越してきたばかりだった。
そして、このイチャイチャを繰り広げる本日は、季節にして初夏。
つまり、彼らは出会ってからまだ3ヶ月しか経っていないのである。
将来、おしどり夫婦になるのは確定だろうなと、大村翔の2つ下の妹、大村
そして、
『これ以上私の前でイチャつくな』
と、二人のやり取りに舌打ちするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます