歌を喰らう魔女

赤青黄

子供を連れ去るアラガン

アラガンに近づくな 子供は連れ去り大人は殺す アラガンを信じるな 優しい言葉は自分の為に アラガンは考え直せ お前は子供を愛していない 愛しているのは自分自身


コンコンコン

 嵐が吹き荒れるある晩の頃に本を読んでいると、コンコンコンとドアを叩く音が聞こえた。

 こんな嵐の中で誰だろう?

 私は、一瞬不気味に思えた

 何故なら外は雨が荒々しく風と共に吹いているからだ。

 こんな夜に外に出かける人はいないはずだ。

 少し用心しながらドアに近づく。

 すると

 「すみません、旅の者ですが遭難してしまって今晩止めてもらえませんか」

 と少女の声が聞こえた。

 私は、ゆっくりとドアを開けた。

 するとドアの前には、ずぶ濡れの男とルビーの様な瞳に銀色の刀身の様な髪を持つ美しい少女がそこにいた。

 男が申し訳なさそうに喋っていたが、私はその言葉になじみがなく聞き取れなかった。

 私が混乱していると。

 美しい少女が口を開く。

 「すみません、宿を探していたらまさか嵐になるんて思ってもいなくて迷惑だと思いますが泊めて貰えませんでしょうか」

 私は少女の口調が大人っぽかったことに驚いたが

 男がまた喋っている。

 しかし私はその言葉を聞き取れないしかし少女がまた口を開く。

 「あの、すみません泊っていいでしょうか」

 私はすこし考えた末、男と少女の旅人を家の中に入れることにした。

 「はははは、すみませんこんな夜遅くに」

 男が口を開いた後、少女が喋った。

 私は、少し困惑した顔をすると。

 男の方が何かを察したようで。

 「困惑していると思いますが、実は自分はこの国の言葉が喋れなくてなのでこの少女に翻訳してもらっているんですよ」

 と幼い言葉で、説明をした。

 私は少し納得がいかないが納得することにした。

 男の方の人は、濡れている上着を脱いだ。

 すると男の人が少女の上着を脱がそうとした。

 「ちょっとまってください」

 私は少し叫びながら上着を脱がそうとするとを止めた。

 男の人が少しキョトンとした顔になった。

 少女が、私が聞き取れない言葉を喋る。

 どうやら私の言葉を翻訳してもらっているようだ。

 男が何かを喋る。

 「どうしたんですか?」

 と聞いてきた。

 「あの~恥ずかしくないんですか」

 私は少し頬を赤らめながら聞くと。

 男の人は少し考えこんで

 「確かに、恥ずかしいですね」

 と言ってきた

 私は少しキョトンとすると

 「彼女を着替えさせてもらえませんか」

 と言ってきたので

 私は、すぐさま

 「あ、はい、わかりました」

 と言って少女を個室へと連れ出した

 少女と一緒に個室に入るりドアを閉める

 私は、少女の濡れた上着と下着を脱がした

 少女の体を見てみる

 私は驚愕した少女の体に無数の傷跡があったから

 私はタオルで少女の体を拭いた

 そして少女に小声で話しかけた

 「あなた、あの男の人とどうゆう関係なの」

 私はある考えが頭をかすめながら聞いてみる

 しかし少女は何も言わない

 「まさか、あなた奴隷?」

 と聞いてみた

 しかし少女は何とも言わない

 私は仕方なくクローゼットから子供服を取り出し少女に着せた

 男の人の声が聞こえる

 何を言っているか分からなかったが多分私たちを呼んだ居るんだと思う

 私は、少女と一緒にリビングに向かった

 「いや~すみません、お手数をかけてしまって」

 少女の声で男は謝った私はこの人に聞きたいことがあったがあまり刺激しない方がいいと感じた

 「いえいえ、大丈夫です。ところでお腹はへっていませんか」

 男は何かを喋り少女が話した後

 「いや、お腹はすいていません」

 と少女の声で答えた

 「遠慮なさらず」

 私は相手の返事を待たずに食事の準備を始めた

 嵐は衰えることを知らずに前よりも強く吹き荒れる

 「出来ましたよ」

 私は四人掛けのテーブルに3つのスープを置いた

 男は私の声を聞こえて四人掛けのテーブルに少女と一緒にやってきた

 「今晩泊めさせてもらうのに、食事までごちそうななってしまって申し上げございません」

 少女の声で謝りながら席に着く

 「いえいえ、私も一人暮らしなのでこんな賑やかに食事をするのがやってみたかったので」

 私も男に続いて席に着く

 少女は、ゆっくりと席に着いた

 「いただきます」

 食事の開始の合図をした後

 男はスープの最初の一口を口に入れる

 「いやー、美味しいですね」

 男は笑顔で私に感謝のお礼をする

 そして男の感謝の言葉に続いて少女がスープ手を付けようとする瞬間

「あ、ごめんね」

 と謝罪した後に少女のスープを取り上げる

 男は驚いた顔を作り

 「どうしたんですか」

 と無礼にも質問をしてきた

 「いや、何でもないんですよ、ただこのスープには薄汚い汚れを落とす薬草が入っていて」

 男は私の言葉の意味を考えようとするが男にはもうその時間はない

 「ぐぁ、がはぁ」

 男は予想したとおりに苦しみだした椅子から転べ落ち机の足をける、首元を引っ掻いて痛みを和らげようとしながら床元を激しくのたうち回るそしてしばらく経った後に男は、目を開けたまま絶命した。

 私は死んだ事を確認した後に無表情で立ち尽くしている少女に優しく抱きつく

 「怖かったね、もう大丈夫よ」

 私は、少女の今までにないぐらいの愛情を向ける

 そして私はある考えが脳裏に浮かぶ

 私はまた無垢なる子供の人生に希望を与える事が出来た

 傲慢な考えだと梅雨ほど考えず私は抱きつくのを辞めた

 「辛かったわね」

 私は優しい愛情を向けながら男の死体の後始末を考える

 しかしまずはこの少女に大事な事をしなければならないので死体の事は明日に考えることにした。

 「さあ、おいで」

 私はゆっくりと立ち上がったあとに少女の手を握り私の後を追いかけさせる

 私は、自分の部屋に入りタンスの扉を開けるそこには洋服は入っていなず、代わりに気も扉がそこに存在していた

 「これから、貴方を最も幸せにするね」

 まだ無表情でいた少女に希望を与えながら木の扉を開ける

 私は優しく少女の手を引きながら石の階段を降ってゆく

 嵐によって少し水分を含んだ冷たい空気を肌で感じながら私は笑顔がほころぶ

 少し時間がすぎた後に階段の終着点が見えてきたいつもより早く付いたと感じながら私は、呪文を唱えた

 生気を帯びていなかったろうそくたちが一斉に火が灯る

 明るくなった部屋には黒が混ざっている赤色の石のテーブルと遺骨で出来た気味の悪い椅子があった

 「これから貴方は、もっと幸せになれるは、私と一緒に暮らすの貴方は、一生子供でいられるは」

 と女はよだれを垂らしながら気味の悪い笑顔を作っていた

 「アラガンに近づくな 子供は連れ去り大人は殺す アラガンを信じるな 優しい言葉は自分の為に アラガンは考え直せ お前は子供を愛していない 愛しているのは自分自身」

 奇妙な歌を歌いながら聞き慣れた男の歌声が聞こえる

 コツ、コツと靴音を出しながら先程絶命していたはずの男がアラガンの目の前に現れた

 「この歌知ってるか、この地域に100年前から語り継がれている歌だ、この歌の登場人物はどんな怪物かと思ったらこんなか弱そうな女だとは、驚いたぜ、アラガン」

 ろうそくの火が動揺で揺れているかのように乱れる

 「貴方、普通にしゃべれたのね、やっぱり薄汚いわ、それに誰の事を言っているの私はアラガンじゃないは、だって私は子供を心のそこから愛しているもの」

「子供を食う事が愛してるって言えるのか」

男の言葉をアラガンは理解する

「ええ、だって私と一緒に暮らせるのよしかも薄汚い大人にはならずに済むしこれを愛と言わないでなんて言うの」

「さあな、俺はそんなに表現力は無いんだすまんな」

男は申し訳なさそうにしながら懐にある銀色に鈍く光る短剣を取り出す

「酷いわね、私達を殺すのやっぱり大人は平気で嘘はつくし、平気で殺そうとするんだね」

 「私達?何を言ってるんだお前一人だけだろ」

 「私はさっき言ったわよね、私達は一緒に暮らしているって」

 アラガンは母親の様な眼差しを自分の体に向ける

 「貴方には覚悟があるの?」

 アラガンはおもむろに自分の洋服のボタンに手をかける一枚、一枚脱いで行き最後には布一枚も無くなった

 その光景を見た男は吐き気を催す

 「助けて」「苦しい」「ママに会いたいよ」

 彼女の体には子供の顔がびっしりとアルガンの体に張り付いていた

 一人一人の顔には魂と命が宿っているかのごとく生々しかった

 「貴方に、私達の幸せを奪う覚悟が」

 うっとりと自分の体を撫で回すまるで自分が正しい行いをしたかのように誇らしげな顔を作る

 その光景に男は堪らず言い放つ

 「悪趣味だ、それの何処が幸せだ」

 膿のような涙を流す子どもたちに苦虫を潰すような顔を向ける

 「幸せに決まってるでしょ」

 当然の事でしょ、と自分の偽善的考えをまるでこの世の当たり前の如く返事をする

 「狂ってるな、」

 男は子供たちの悲しい顔を見て心に傷跡ができて行く

 「狂ってないわよ、狂ってるのは貴方の方でしょ」

 アラガンは一人、一人の顔を優しく撫でる

 「この子達を殺そうとしているもの、貴方のほうが狂ってるは」

 母親の様な優しい笑顔を向けて絶望で泣く子供達に子守唄を歌う

 その光景は異常の何者でもない彼女が紛れもない怪物と証明される光景だった

 彼女の優しい子守唄は絶望と虚しさを男の心に残す

 「子供達が泣いているだろ」

 男は握り拳を作る

 「ええ、泣いているは、貴方が私達を殺そうとするから」

 的はずれな考えに男は諦めの感情が生まれる

 「なわけ無いだろ、お前が居るから泣いてんだよ」

 男の言葉にアラガンは反応する

 「私のせい?何を言ってるの?」

 まるでわからないと言った態度に男は唇を噛む

 「わかんないのか、お前が嫌いすぎて泣いてるんだよ」

 男は薄笑いをしながら皮肉を言い放つ

 「ふざけた事言わないで!」

 アラガンは優しく撫でていた子供の顔に深く爪を立てる

 「痛いいいいよおおおママあああ」

 子供の悲痛な叫びに男は助ける事が出来ない自分を呪う

 「私が、嫌いで泣いている、ふざけた事を、言わないで」

 言葉の跡切れ跡切れに子供の顔に爪を突き刺していく子供の顔は膿の涙を流し先程よりも苦痛に変わっていく

 「おいアラガン一旦自分の手元を見ろ」

 男の声に我に返ったのかアラガンは子供に爪を立てるのを辞める

 「ああ、ごめんなさい」

 涙を流し先程まで傷つけていた子供の顔に謝る

 「貴方が変な事言うからこの子がこんなに傷だらけに」

 心配したようにアラガンは子供の顔を撫でる

 傲慢だ、アラガンは傲慢だ

 村の人達の言葉を男は思い出し納得する

 こいつは確かに傲慢だ

 男は何かを諦めて沈黙する

 男の沈黙を見るとアラガンは優しく笑った

 「やっぱり貴方には、私達の幸せを奪う覚悟なんてなかったのね」

 安心しきった顔を作り自分の手に付着した子供の血を舐める

 「安心したは、貴方がいい人で、本当に心配したの、だって子供の奴隷を連れているもの」

 アラガンは一人の少女に目を向けるそして少女の可憐な姿によだれをこぼす

「勘違いするな、そいつは奴隷じゃね、この方が油断するって言われたから仕方なくだ、まあ、あいつは多分悪ふざけで言ってたがな」

 男は先程の沈黙を破りゆっくりと銀色の刀身の短剣を相手に気付かれないように構える

「へぇー、他にお仲間が入るのね、さて何処に」

アラガンが言葉を言い終わる前に男は子供たちの隙間にあるアラガンの心臓を目掛けて銀色の短剣を振るう

しかし銀色の短剣はアラガンの心臓に届く事はなく代わりに銀色の刀身が赤色に染まりながらアラガンの手の平と子供の顔を貫いていた

「不意打ちは酷いはね」

アラガンは笑顔を作りながら左腕を撫でるするとボコボコと子供の顔が沸騰しているかのように膨れ上がり怪物の腕へと変わる

そして男の顔面にお返しと言わんばかりに突き刺さす

男の顔面には血の縁が出来上がっていた

 アラガンは、満足そうに顔面から手を抜く

 そこにはポッカリと大きな穴が空いていた

「大した事なかったはね」

左腕に着いている血を拭いながら少女が逃げていないか確認しようとすると

「痛えな」

 信じられないほどに膨れ上がった子供の顔に男はアラガンに怒りを表す

アラガンは、信じられない者を見たかのように

 「なんで死んでいないの」

 と驚きを隠せないでいた

 「死にてえさ俺だってだけだよ、俺は死ぬ事ができねんだ」

 男はまるで何事もなかったかの如く単調に言葉を並べる

 そして覚悟を決めたかのように大きな声である一人に手助けを求める

 「俺の寿命を伸ばさせてやるその代わりこいつの動きを止めろ魔女!」

 と男は、一人の少女に視線を向けて大きな声で協力を求める

 アラガンは、男の視線が少女に向かっている事が分かり念の為に少女から距離を置こうと行動しようとしたが、だがもう遅かった

 アラガンの体は大蛇が大きく巻き付いているかのような感覚に襲われる

 まるで何者かに縛られたように動かなくなっていた

 「な、に、これ」

 アラガンが苦しそうに質問をする

 しかし誰も質問には答えは返ってこない

 代わりにと言わんばかりに男が握っていた銀色に光る刀身が子供の顔の隙間を避けアラガンの心臓を貫く

 「ぎぁやあややややっややっや」

 アラガンの血の気を帯びた叫び声をあげる

 すさまじい声量だがすぐに嵐によってかき消された。

 口から血を吹き出しそして身体中から歌が流れ響く子供たちの絶叫とも取れる合唱は嵐の音を喰らうように鳴り響く

 「これで、いいのか」

 顔面の大きな穴が無くなり普段りになった顔には虚しさが占拠して

 「よくやった」

 少女は満足そうに歌を聞きながら、少女は何かの歌を唱える

 男は、少女から目を背ける

 すると少女の体は蠱惑的な女性の姿に成長する

 少し背伸びをした後に、魔女は血で濡れている合唱を食べ始めた。

 しばらくたって魔女の咀嚼音しか聞こえなくなった。  

 どうやら食べ終わったようだ、男は魔女の居る方向に目線を向ける

 魔女は食事が終わり少女の姿に戻っていた。

 「ふぅー、あまり旨くなかったな」

 少女はその言葉に反して満足そうに血を拭う

 男は怪訝そうな顔をしながら少女に顔を向けた

 「何をぼーと突っ立ておる、ワタシに見とれると言うなら仕方がないが、もうすぐ朝だ、早く次の歌の場所に急ぐぞ」

 男は反論することを諦め少女の命令に素直に従うことにしたが

 「少し待ってくれないか」

 と少女にお願いをした

 少女は不機嫌な顔になったが

 「まあ、貴様は今回も役に立たなかったが、すこしは働いてくれたし、少しだけなら待ってやらんこともない」

 と男の申し出を認めた

 そして太陽がもうすぐ真上に到達しようとし頃に

 「よし、やっと終わった」

 と嵐の去った後の蒸し暑さを感じながら顔から流れ落ちる汗を濡れた地面に落ちぬように腕で拭う

 「遅いぞエストどれだけワタシの時間を使えば気が済むんだ」

 少女は地面に家の中にあったシートを木陰の下に広げ腰を下ろしていた

そして少女は少し膨れながらエストに抗議をする

 「いいじゃねえか、時間はたっぷりあるんだから」

 と悪びれる様子もなく答える

 少女は少し不貞腐れながら

 「ワタシの貴重な時間を使って何を作っていたんだ」

 とそよ風を感じながらエストに質問をした

 男は少し悲しそうに

 「あの子達の墓を作っていたんだ」

 と腰を伸ばしながら答えた

 少女は不機嫌そうにあくびをしながら

 「そんな無駄のことでワタシの大事な時間を使うな」

 と文句を垂れ長しながらシートの上に寝っ転がる

 「お前に、人の心はないのか」

 男はため息を吐きながら、自分で作った粗末な墓に一輪の花を添えた

 「気休めだが、成仏しろよ」

 と粗末な墓に優しく言葉を添えた

 「では、行くぞエスト」

 少女は、エストが作業を終ったことを確認した後にすぐさま起き上がる

 エストは、頭を掻きながら

 「はい、はい」

 と返事を返した

 そして忌々しい家から旅立とうとした時、そよ風が一輪の花を揺らす、まるで別れの挨拶をしているかのように

 ありがとう

 何処からともなく子供の声が聞こえた

 エストは後ろを振り返りすこし顔をほころびさせながら

 「どういたしまして」

 と小さく返事をした。

 

 

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歌を喰らう魔女 赤青黄 @kakikuke098

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