年甲斐もなく。(ヤキモチ①)

彼女と付き合い始めてはや数か月が経つ。

俺はBARの営業、彼女は大学へと通う日々。

最近は、お互いが忙しくなり生活リズムも合わなくなって、彼女が俺の家に遊びにくる事もあまりなくなっていた。


彼女からの久しぶりの連絡が入ったのは、俺が店を閉めていた時だった


「”会いたいです”」と一言だけLINEが入っていた。


「会いたいか。俺も会いたいが如何せん、生活のリズムが合ってねぇ。俺に付き合わせてしまったらお嬢ちゃんに迷惑をかけることになりそうだなぁ。」


LINEの返答に困り、文字を打つ手が止まる。


「でも、このままじゃいけねぇよなぁ」


「デートに誘うか?大学生ってどこにデートで行くんだ?」


「”次の休みいつ?休みだったらデート行くか”」


シュッポンとLINEの送信される音。


「”次の休みは土曜日です!行きたいです!”」


文面からでも嬉しさが伝わってくる彼女の返信。

これは俺も一肌脱ぐしかないようだ。


約束の土曜になった。

デートの準備をしていると、啓治の携帯が鳴る。


「”よぅ!今日これからちょっと接待があるんだが、店開けて貰えるか?”」


啓治のBARの常連客からの電話だった。


「あ〜、今日か。(アイツとのデートなんだが・・・、いつも世話になってるしなぁ、仕方ねぇ・・・)分かった。開けて待ってるよ」


「デートの約束、どうするか・・・。日をあらためさせてくれって言うしかないよな・・・。」


彼女に通話をかける。


「あ〜、嬢ちゃん?」


「”おはようございます、啓治さん。どうしましたー?”」


「今日のデートなんだが、ちと急用が入っちまった・・・、また日をあらためてもいいか?」


「”お仕事ですか?”」


「あぁ、常連客がな。接待で使いたいんだと。」


「来週の土曜は絶対な。ごめんな。」


「”ちょうど課題もあったので良かったです。頑張ってくださいっ”」


「あぁ、ごめん。行きたいところあるか?何処でも連れてってやる」


「”行きたいところですかっ。雑貨屋さんが見たいです!あの、ショッピングモールの中の!”」


「あー、あのアクセサリーとか、置いてあるところか。分かった。来週の土曜日は絶対な。じゃあ、また連絡する」


雑貨屋か。

俺の勝手で、ドタキャンしちまったんだし

アクセサリーの1つでも、お詫びにやるべきだよな。まず、仕事が終わってから見てみてるか。




____________________


続く

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甘い時間 紅月 @kazh0604

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