1-1 調伏師・ダグラス
「『ダグラス・リード』。貴殿をドローミ村の『
想像していたよりも簡素な辞令に、俺は少し拍子抜けな気分だった。
ヴァナルガンド王国の首都・リングヴィア。この国では古くから人々に災いをもたらす『魔獣』という存在がおり、特に農村に甚大な被害を及ぼしていた。しかし、神話においては害のない獣も魔獣も祖先は同じ『神獣』であるとされており、共存が望まれることから無闇な殺戮は禁忌とされている。
そこで、殺さずして無害化する方法として、ヴァナルガンドには「
そんなヴァナルガンドの首都にある、
馬車で中央都市リングヴィアから揺られること4日。俺は馬車の揺れが収まったのを感じてから扉を開けた。
「…おお」
一面に広がる緑と畑。烈日に汗しながら鍬を振るう農夫。堆肥の臭いを乗せたそよ風に回る風車。どこか温かみのある農村の牧歌的な風景に、俺はしばし尻の痛みも忘れて見入っていた。
「ほっほっほ。こんな田舎が物珍しいかい、若い
すると、日焼けした白髪の老人がゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。俺はその人物が何者かをすぐに理解し、頭を下げて出迎える。
「滅相もありません。私はダグラス・リード。本日よりドローミ村の『
「如何にも。話は聞いておったが真面目そうだのう」
「恐縮です。ところで今後の方針についてなのですが…」
「まあ、こんな所じゃなんだ。仮の住まいを用意したからそこでしようじゃないか。ついてきなさい」
「は。ご足労おかけします」
村長の後ろを大人しくついていく。俺の
派遣テイマー~調査は村を追放されてから~ ふぁぶれ @Fable-26
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