にじかんめ こくご

 二時間目の授業は国語。

 国語と言ってもゾンビの知能では漢字を覚える事は難しいので、主に教科書の音読を数人がかりで順々に行う。

 そして、この授業がゾンビの振りをしているだけの私にとってはかなり苦痛である。


「じゃあ次はヒト美さんに読んで貰うゾビ」

「はい……ゾビ」


 国語ゾンビ教師から指名されたので、仕方なく撥水加工(体液が付いても大丈夫な様に)された固い教科書を持って立ち上がる。


「えーっと……ゾビ。ももたろうはいぬとさるときじをけらいにし……ゾビ、おにがしまへわたるほうほ……ほうゾビをさがしました……ゾビ」

「ヒト美さん。最後のゾビはいらないゾビよ?」


アハゾビビー!


 これだ。

 この『ゾビ』の使い方が全く分からず、又もクラスの笑い者になってしまった。

 ゾンビ達は『ゾビ』を語尾だったり接続語だったり修飾語だったりに使っているのだが、使わない時もあれば全然違う場所で使う時もあり、法則性が分からない。

 その為、私はなんとなく雰囲気で『ゾビ』を使わざるを得なく、こうして変な場所で『ゾビ』を使った時は周りからはふざけている様に見えてしまうらしい。

 お陰で私はクラス中から笑いを取る為に変な事を言っている女とみられてしまっているらしく、こうしてゾビの使い方に失敗しては毎回笑い者にされている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る