マリーゴールド

 黄金色の光に焼かれる。

 ぼくはこらえきれずに目を逸らした。学校からの帰り道、親友が、最近付き合いだしたらしい彼女と並んで歩いていた。隣のクラスの可愛い彼女の方から、あいつにアプローチしたという噂だ。

 思えばあいつとは幼稚園からの付き合いだ。その頃から、絵を描いてもかけっこをしても、本を読んでも計算をしても、あいつは一番の座にいた。そして、隣で肩を落とすぼくに、何のてらいもない笑顔を向けるのだ。目が眩むような、明るい笑顔を。

 別の道に足を踏み出そうとした時、快活な声に名前を呼ばれた。見ると、親友が嬉しそうにこちらを見ている。

 あいつは必ず、ぼくを見つける。

 小学生の夏休み、かくれんぼをしていて入った古い公園の遊具が壊れ、ぼくが一人で抜け出せなくなった時も、あいつだけは根気強く探し出してくれた。その時、あいつの背中越しに差し込んだ黄金色の輝きが、今でもぼくの網膜から離れない。

 親友と、親友の彼女と並んで歩きながら、いっそのこと、あの光に身を投げ出してしまおうかと考える。喉元につかえたままのいびつな塊を溶かすには、もうそれしかないのかもしれない。

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