マリーゴールド
黄金色の光に焼かれる。
ぼくはこらえきれずに目を逸らした。学校からの帰り道、親友が、最近付き合いだしたらしい彼女と並んで歩いていた。隣のクラスの可愛い彼女の方から、あいつにアプローチしたという噂だ。
思えばあいつとは幼稚園からの付き合いだ。その頃から、絵を描いてもかけっこをしても、本を読んでも計算をしても、あいつは一番の座にいた。そして、隣で肩を落とすぼくに、何のてらいもない笑顔を向けるのだ。目が眩むような、明るい笑顔を。
別の道に足を踏み出そうとした時、快活な声に名前を呼ばれた。見ると、親友が嬉しそうにこちらを見ている。
あいつは必ず、ぼくを見つける。
小学生の夏休み、かくれんぼをしていて入った古い公園の遊具が壊れ、ぼくが一人で抜け出せなくなった時も、あいつだけは根気強く探し出してくれた。その時、あいつの背中越しに差し込んだ黄金色の輝きが、今でもぼくの網膜から離れない。
親友と、親友の彼女と並んで歩きながら、いっそのこと、あの光に身を投げ出してしまおうかと考える。喉元につかえたままのいびつな塊を溶かすには、もうそれしかないのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます