「Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─」作者 MST 様

次の感想は、MST様の「Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─」です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887053912


まず大まかな感想を書きます~~。


主人公チェントの記録という手法で語られる、両親を殺された兄妹の確執を元にした戦記でした。

両親を亡くしてから、兄を憎み、殺し合うまで。

チェント自身で語られる物語。

プロローグで記録と語られていることから、落ち着いた一人称で少女の想いを書き綴っていて、とても読みやすかったです。

余計な情報がはいっていなくて、物語に入り込みやすく、あっという間に読み終わってしまいました。

事前にレビューをさらっと読みましたが、これ9万文字ですか?のレビューも頷けます。文庫一冊分くらいの分量なのに、中だるみもせずいつの間にか読み終わっていました。

戦いの場面も魔法と剣を上手く表現されていて、迫力が伝わってきました。

良質のファンタジー戦記に仕上がっていたと思います。


さて、次にネタバレ感想を書きます。





チェントが少女の頃が、とても我儘で正直イライラしました。大人のチェントが今ならわかると心情を語りながら、少女の自身について説明するので、今はわかってるんだなあと期待しつつ、読み続けました。

チェントが魔王軍に連れていかれ、そこで修行をする時、これは完全にチートですね。何もできなかった、ただ守るべき少女が、数か月で、魔王レベルに強くなるとは、ちょっと驚いてしまいました。

兄のヴィンセントは流石にチェントより強いですが、四年以上かかってますよね?そのレベルに達するまで。

これが少しだけひっかかりました。

この物語が重厚なのでその辺を考えてしまいましたが、多分普通の異世界ものなら引っかかることはなかったと思います。


チェントの師匠のネモはかっこよかったです。彼によってチェントはやっと救われた。このまま幸せになってほしかったですが、そうはいかないですよね。

スキルドは弱いがために、チェントの支えにならなかったのか。

彼がもう少し頑張ってくれたら、この歪みもなくなったかもしれないと残念です。というか、この辺チェントはシビアですよね。

あれほど愛情を注いでくれた彼をあっさり。

そういう彼女だからこそ、兄を憎み続けたのでしょうね。


ネモ、スキルドを見ているとチェントに対して複雑な思いがこみ上げてきます。


シルフィは、ヴィンセントにとって救いになっていたかもしれないが、お荷物で、チェントより性格悪いなあと思いました。

このシルフィのこともあり、最後の戦いで彼女のための怒っているヴィンセントの、普通の男としての小ささ、そして弱さを見ました。

それでも英雄は英雄でしたよね。


エピローグでプロローグに戻っていく。

チェントが歪みを断ち切ろうとしているところに好感が持てました。本当に、たった少しのすれ違いが大きく歪み、道を隔てて、様々な人を不幸にしてましたよね。

ネタバレ感想では思いつくまま、書いてしまいましたが、良質の物語だと思っています。


この度は企画に参加してくださり、ありがとうございました。


次回の感想は dooku様の「あの日、君は死んだ。最後は笑っていた。」です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917563278





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