「月のライン」作者 リエミ 様
次の感想は、リエミ様の「月のライン」です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887495154
さてまず大まかな感想を書きます。
リエミ様の作品はこれで、4作目を読むことになると思うのですが、やはり雰囲気がある文章で羨ましいと思いました。
書き方に個性があるというよりも、雰囲気ですね。
物語は三人称で、メルを中心に数人の視点で展開してます。優しいメルの人柄、その幼馴染、島の人、その人物の背景まできちんと書いていて、人物像がはっきり浮かび上がってきました。
ノンビリした雰囲気から一転して……。
島を思う心、父、息子を思う心、幼馴染を心配する心、様々な思惑が絡み合って、物語は展開して、後半はハラハラしながらその関係性に胸を打たれたり。
人が人を想いあっていて、全体的に温かい物語だったと思います。
以上が大まかな感想で、下記ネタバレ感想になります。
☆
メルがメールボーイとしか島の人に呼ばれないことがちょっと悲しいと思ったのですが、メル自身が誇りに思っているというところがほっとしました。
ちょっとした失敗で解雇?をチラつかせる上司に、彼の職場の厳しさを想像してしまいました。
ふんわりとした職業ではなかったのですね。
島の人たち。
メルの幼馴染で雑貨屋さん(?)に勤めるリカ。
ロイに抱く想いにほっこりして、ロイが別れをいうところで、少し悲しくなりました。広場に急に現れた彼に驚いて風船を飛ばしてしまうところは、とてもロマンチックでした。
そのロイ。
不正に手を貸さず、島のために、父を向き合う姿勢がかっこよかったです。
メルに事実を話すときの彼もまた。リカが惚れるのも当然ですね。
前のリカ視点の時は気が付かなかったのですが、すでにメルはリカに広場で会う前にロイからは真相を聞いていたんですね。ただ手紙を受け取っただけだと思ってました。だから、リカにあんな態度だったんだと納得しました。
メルはリカに少し恋心を抱いていなかったのか、それがちょっと気になります。
さて、ホテルの跡取りの孫のキト。
彼の祖母にはがっかりしました。ロイの父の町長は改心したのに、まったくその気はなかったわけですねぇ。お金が重要なのか。ロイと同じ台詞を吐きたくなりました。
キトはその点、純粋でよかったです。
だからこそラジも彼には話したんでしょうね。
ラジはかっこよかったです。
最初は胡散臭かったのですが……。キトの傍に戻ってきてほっとしました。これからも彼はキトを守り続けるでしょう。
個人的に一番好きなシーンは、町長が幻覚症状を表したロイを抱き起して許しを請うところです。
町長が改心してよかった。
島はどうにか救われて、島の人たちも一歩前に進むという感じの終わりで、とてもいい読後感でした。
メルはあのままで幸せそうですけど、彼にもいい人が現れてほしいものです。
以上が感想になります。
この度も企画に参加くださりありがとうございました。
次の感想はMST 様の「Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─」です。
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