第41魔術についての授業

「はぁ……人の裏とは怖いものだな」

 俺はそんなことを言いながら教室に入る。

「先生遅刻ー」

 生徒たちがブーブーと言ってくる。

「すまなかった。あれミスだったんだ。自分で雷を落としてしまうとは……」

 俺は自分自身に落胆しながらそう言った。

「先生って鈍臭いよね」

 毒舌少女サラが俺のことを罵ってくる。

「サラ……成績下げるぞ」

「そんな事がまかり通ると思ってるの?」

「はぁ……俺の負けだ。負け負けー」

 俺は萎えた気分で教台に登る。

「すぅーはぁ……。授業を始めようか」

 俺は気分を切り替えて授業に入る。

「よし、今回は俺が一番嫌いな授業形態で行くぞ」

 板書……黒“板”にある文字を生徒が“書”き写す授業形態だ。いわゆる、眠たい授業というやつだが今回は仕方ない。

「今日の授業テーマは『様々な魔術について』だ」

 俺はガツガツと音を鳴らしながらこの世界に存在する魔術の種類を書き連ねていく。

「魔術は完璧なものではない。それ故にデメリットも存在する。今回の目的はそのデメリットを頭に入れることだ」

 そう言って1つ目の魔術を書き終わる。

 1つ目——呪式魔術インカンティーシモ。正式名称は呪文詠唱式魔術というもので、呪文を唱えて魔術を発動する事ができる。開発者はマギドマス・チェイスという半人半魔である。デメリットは全ての魔術において呪文を唱えなければならないということ。

 2つ目——腐行ストック。あらかじめ魔法陣を描いて即座に発動できるもの。開発者は俺の母のテマルナ・リメルサである。まぁ、名付けしたのは貴族だが。各々の魔術を区別するために魔法陣が厳密に定められているのがデメリットであるが、強力な魔法を呪文なしで、さらに安定化させて唱える事ができる。

 3つ目——瞬行クイック。呪文なしで、魔術を発動するというもの。デメリットとして、安定した魔術が放てないことが挙げられる。開発者はフィザー・スナイプルという魔術学者だ。有名らしいが、俺は知らん。

 4つ目——契約式魔術アコールド。少ない呪文で、安定した魔術を発動できる魔術。さらに、無駄に厳しい魔法陣の制限もない。デメリットを挙げるとしたら、魔獣との契約が必須であるということだ。

 魔獣……魔術研究の副産物。まぁ、自然界にも突然変異によって生まれた魔獣がいるが。人によって作り出された欲望の化身。基本的に情を失っていることが多く人間を見かけると強い怨念を抱きながら突進してくる。ただ、魔獣の全てが悪者か?と聞かれたなら、その問いには否で答えることになる。いわゆるドラゴンやナーガのように人の言葉を話す魔獣もいれば、タイタンのように優しい魔獣もいる。詳しい説明はまた今度にすることにしよう。

 俺は時計を見た。

「すまない。俺が授業に遅れたせいで、今日のうちに終わるはずだった範囲が終わらなかった。では、今回の続きは次回に」

 チャイムがなったので、俺は教室を出て行った。

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