第33話彼は屋上で目を覚ます

俺は倦怠感に襲われながら、屋上で目覚める。

 必死に押さえ込んでいた悔しさや悲しさが記憶の開放により、心を埋め尽くすような感覚に襲われる。

 

(あの骨やろうだったのか……。謎が解けた)

 

 俺はネックレスを外す。

 

(ありがとう……助かった)

 

 さっき憑依させたのは、聖騎士龍族“活性神龍ナトリエ”。聖騎士龍の中で唯一、体力回復のスキルを持っている龍だ。

 

(どこに行った? 早く……クラディアを助けないと)

 

 俺は思考回路をフル回転させる。

(奴らの目的はおそらく反逆。正式には六芒教ルシウルスの実質的な廃止か……)

 

 六芒教ルシウルス……この国の国教で、魔術の基礎でもある。様々な派閥が存在していて、他宗教を異端として切り捨てる習慣がある。


 俺は六芒教ルシウルスの教会の方に目を向ける。

 

(はぁ。できれば……もう染めたくなかったんだけどな)

 

 いつもは綺麗なはずの俺の右手は血がついたように赤黒かった。

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