第25話彼はオトリを素早く片付ける
「キャーーー!」
「やらかしたーー!」
(なんで、5階から飛び降りたんだろう)
俺は、そんなことを思いながら、魔術の詠唱の準備をする。
「具現せよ!我が望むは柔和なる空気なり!『エアロクッション』」
俺はなんとかダメージをゼロに抑えることができた。
「ふぅ」
俺はため息をついたがすぐにクラディアの手を掴む。
「おそらくだが、あの男の方が俺たちのことを追いかけてくるはずだ!」
俺の予想は的中したようだ。
「待ちやがれ!」
上から、あの男の声が聞こえる。
(ちっ!面倒だな)
俺はクラディアにブリーザードワンプスのネックレスを渡す。
「最悪の場合はそのネックレスに念じろ!助けてくれってな!」
「え?先生は?」
「俺は、あの男と殺り合う!」
「駄目だよ!そんなの人殺しと一緒じゃない!」
「生き残るためには必要なんだ!早く行け!」
「先生……」
クラディアは何かを言いかけたが、走り出してくれた。
(ありがとう)
俺はあの男に向けて足を運ぶ。
「イタタタ。やらかしたな」
当たり前だ。男はクッションもなしに5階から飛び降りたのだから。
「大丈夫か?5階から飛び降りたんだろう?」
「大丈夫だ。ご心配をおかけしたな。あー、そうだ。オイラは、バース・アームストロングって言うんだ」
さりげなく、男は俺に自己紹介をしてきた。
「そうか。俺の名前はピグロって言うんだ」
俺も自己紹介をして戦闘の体勢に入る。
「いいのか?あの嬢ちゃんを放っておいて」
「大丈夫だ。だから、存分に殺りあえるぜ」
俺はニヤニヤと笑ってポケットに手を入れる。
「俺のネックレスの種類は23種類。まぁ、一体をクラディアに預けてあるからお前は22パターンの攻撃パターンを知らなければ、俺には勝てない」
俺はそう言ってポケットから黄色がかったネックレスを取り出す。ちなみに、生徒からは全てのネックレスを回収した。
「行くぜ!」
「おうよ!ドンと来い!」
バースは俺との戦闘を楽しんでいるように感じた。
(こいつは、あくまでも時間稼ぎのようだな)
俺はネックレスを首にかける。
(おっ!久しぶりに僕の活躍の場かな?)
(そうだな。どんと暴れるぞ!)
(「
聖騎士龍“雷鳴神龍アオヤイバ”。
俺が危険区にいた時に毎日のように剣の稽古をつけてくれた龍で、主な使用武器は太刀である。
ご存知の通り、聖騎士龍を
「おぉ⁉︎なんだそれは?」
「
アオヤイバ達、聖騎士龍達は、自身の得意な武器をゲートのような物にしまっているようだ。
「
俺の右手には大きな太刀が握られている。
「楽しませてくれよ!『
バースはそうスキルを発動させて、地面を殴ると、地面がウネって俺たちを喰う勢いで向かってくる。
俺は剣を抜き、宙に体を持っていく。
「空中に飛び上がることなんて、お見通しなんだよ!『
地面から土の柱のようなものが飛び出してきたが、俺たちはそれをヒラリと避ける。
「なっ⁉︎」
俺たちは逆にその柱を使って、バースとの距離を一気に詰める。
「ふぅー、やるか」
俺は剣を自分の真上に持ってくる。
「神龍流剣技術、第一式『雷神の鉄槌』」
俺たちは柱を蹴り、バースに斬りかかる。
「『
盾が俺たちの目の前に現れる。
「まぁ、関係ないんだけどね」
なぜなら、俺はもう、バースの後ろにいるのだから。
帯電した電気を発散させて、太刀を鞘にしまう。
「はぁ?なんで……そこに……」
バースは泡を拭いて気絶した。
「ふぅ、お終い」
俺はバースの手足を、縄で縛った。
(殺さなくていいのか?)
(なんで殺さないといけないんだ?)
俺はバースを切ることを最初から目的としていなかった。
だから、こいつには“人間の急所を打って”少し気絶してもらったのだ。
(おそらく、こいつはオトリだ。だから、俺はお前を選んだんだ。早く解決するためにね)
俺はネックレスを外して、クラディアを逃した方向に走り出す。
(嫌な予感がするんだよ!)
俺は、アオヤイバの高速移動の反動を受けながら、クラディアを探した。
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