第24話そこはくせ者生徒が輝く場
「今日の授業はここまでだ。内容はわかったか?」
俺は魔術の基本である『六芒星』について解説をしているところだった。
この時はあのような悲劇が起こると全く思っていなかった。
「せんせー!なんで、魔術の基本は六芒星なんですか?」
聴き慣れない声が聞こえた。
「ん?それは……」
俺は声が聞こえた方向を見て
そこには髪がボサボサな中年の男とサラリと長い髪の女が立っていた。
「なんのようだ?不法侵入だぞ?」
俺はポケットからあの魔導書を取り出す。
「そう構えなさんな。おいら達はある生徒を探しに来たんだよ」
「名前は?どう言った要件だ?」
「質問責めだな。いいさ、順に答えてやる。まず用があるのは“クラディア”って子なんだけど。ここにいるかな?」
「さぁ?」
「惚けるのか?まぁ、いいさ。で、用は僕たちの躍進に協力してもらうためだね」
ニヤニヤと笑う彼らに俺は近く。
「ここにはそんな生徒はいないな」
「嘘つけ。いるんだろう?生徒を脅して聞いたんだぜ?」
「うちの生徒には手を出させないぜ?」
「そうか?お前は軍の出身じゃないんだろ?おいら達を1人で止められるのか?」
「無理でも、時間稼ぎぐらいならできるかな?」
俺は彼らの胸ポケットにあった紋章に五芒星のが描かれている事に気がついた。
「
「そうだぜ?」
俺は彼らから一旦距離を取ることにした。
「クラディアって子はここにはいない。確か1年5組じゃなかったかな?」
「嘘ね。私は嘘がわかるのよ。心配しなくていいのよ。クラディアちゃんだけ差し出せば他の生徒には危害を加えないわ」
(つまり、クラディアには危害を加えるということか)
俺はどうするか迷う。
いや、クラディアを差し出すのは論外だが、男が言った通り2人を相手するのは流石にきつい。
俺はとりあえず威嚇をすることにした。
『
俺はとりあえずあの女の方に向けてスタマツを放つ。
「とろい」
俺は右肩に手を置かれる。
「なっ⁉︎」
『
俺の肩に、今まで経験したことのない強い痛みが走った。
「がっ!」
俺は左手を振り回す。
「ちっ!簡易魔術詠唱か!」
簡易魔術詠唱…魔術の発動をイメージして魔術を発動させる詠唱法。通常の魔術の70%程の力しか出ないが、長ったらしい詠唱をしなくていいので、よく軍で用いられている。
「けけけ!早速ピンチだぜ?」
「めんどくさいな!」
俺は右肩を押さえながらジリジリと後退りをする。
「ん?」
ドギー・ノウティーはある異変を感じ取る。
(まずい!どうする?)
彼は自身の前に置いてあった分厚い教科書を俺に向かって投げつけた。
「ドギー!何をしているんだ!」
宙に浮いた教科書に何かが刺さった音がした。
「くそガキ!やりやがったな!」
俺は教科書を拾って、何が刺さったのかを素早く確認する。
「麻酔針か?」
「くっ!」
男は耳に手を当てて味方の狙撃手に連絡をとっているようだった。
『
今度はちゃんと当たった。
「うっ!これが
男はとても苦しそうな表情を浮かべる。
「だが、俺には効かないんだよ」
「なっ⁉︎」
男は余裕の表情でクスクスと笑っている。
(マジかよ!)
俺は頭がパニックになる。
(後ろには狙撃手、前には俺の『
俺は生徒達の方を見る。
(ある程度のスペックの生徒達だが、こいつらの相手をさせるわけにも……)
そんな悩みをある生徒2人がぶち壊してくれた。
『BBショット!』
『艦凸打撃・壊』
俺は目を疑った。
なぜならあのくせ者2人が真っ先に動いたからだ。
「セイル、メクリヤ!」
セイルの放った弾丸は男を、メクリヤの攻撃は女を吹き飛ばした。
「俺をみくびるなよ。俺様はいずれ“最強”になる男だ!」
「平民を助けるのは釈だが、ここは1つ助けてやるとするか」
(ふっ。うざいが、憎めない奴らだ)
俺はこいつらに任せても良いと感じたので、クラディアを担ぐ。
「え?」
クラディアは何をするのか全くわかっていないようだったが、そんなことは関係ない。
「逃げるぞ!残りの生徒達は上手くこの場を逃げきれ!」
俺はそう言って窓から飛び降りた。
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