第20話彼は凍った少女を眠りから覚ますⅡ

「くっ!このままじゃ!」


俺は自身の全魔力を彼女に向ける。


(相棒!それじゃあダメだ!)


(何が?)


(おそらくだが、こいつはお前の魔力を吸っているぞ!)


「はぁ?」


俺はワンプスの声に耳を傾ける。


(火属性の魔術も効果があるかわからない。間接的に温めなければ)


俺は考える。


を使うか?」


(まさか!を使うのか⁉︎)


俺は頷く。


「仕方ないだろう!」


(お前の命が危ない!嬢ちゃんが助かっても、お前が死んだらもともこもないだろう!)


「そんなことは関係ない!大事なのは生徒の命を助けること!それが一番大事なんだよ!」


俺はポケットからチョークを取り出す。


六芒星は、魔術の基本である『循環』と『反射』を表す象徴であると太古から信じられている物だ。


俺は2つの六芒星を書きそこの上に両手を乗せる。


(本当にやるんだな?)


「あぁ!こと集いし強欲の司書よ!我をそこに通したまえ!かこち交えし我思いは永遠に循環し爾の心で反射し続けゆきものとなるだろう!『強欲図書館ギヤーライブラリー』」


『ギヤーライブラリー』……最高峰の知識魔術だ。

自身の98%の魔力を消費することで、魔術の選択肢、効力の向上など、様々な効果を発動者にもたらす効果がある。


「アイツが来るまでの辛抱だ!1分でも、2分でも命の遅延をする!」


俺はそう言いながら思いっきり息を吸う。


「我が望むは終炎しゅうえん!無情なる地獄の炎にてあまたなる者を焼き尽くせ!『ホレーフラム』」


俺は最高峰の火炎魔術を発動させる。


俺はその魔術をクラディアに放つ。


「頼む!溶けなくていい!少しでも命の遅延処置を!」


俺はそこまで言って倒れた。


(魔力切れか?)


俺は薄れゆく視界の中でクラディアの周りの氷が少しだけ溶けていることを見ることができた。

勢良くドアが開く。


(間に合った……)


俺は安心したのか、俺の意識は暗い闇の中に沈んでいった。

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