第15話彼は生徒と龍のマンツーマン指導を横目に見るⅢ

続いてはどこに行こうか?


そんなことを考えながら俺は廊下をトボトボと歩く。


「うるさい!俺様の我流に文句あるっていうのか?」


壁越しにでも響き渡る怒号。俺は何事だと思いその教室に入る。


「いやー、文句はないが、その構えは反応速度が鈍ると」


「それが文句なんじゃないのか?あん?」


この口の悪いプライドの塊は1年8組2席メクリヤ・バンドライである。

スキル『チェイン』……。地面から鎖を放ち相手を拘束する。2席であるからセイルの次に優秀だということだ。ちなみにぎゃあぎゃあ言い合っている奴はインパクトセイズだ。


「爾は我の考えに文句をつけているのだ!同じことであろう?」


「うるさい!聖騎士龍最強の防御術を持っていようが、所詮は雑魚だ!お前は弱いから盾に頼るんだ!盾は守る物じゃない!敵に油断のスキを与えて殴るためにあるのだ!」


「盾は殴るためでも、自分を守る物でもない!大切な人を仲間を守るためにあるのだ!」


俺はウンウンと頷く。


「はぁ?仲間だ?大切な人だ?ふざけるな!自分自身を守れないで何が他人を守るだ!戯けたことを言うんじゃない!」


俺はため息をつく。


(俺の仕事かな?)


そう思いながら、俺はメクリヤに声をかける。


「どうだー?うまくやっているか?」


「あん?あー、先生か?」


「そうだぜ?ピグロだ」


俺はなんと答えたらいいのかわからなかったのでとりあえず自己紹介をした。


「聞いてくれよ!こいつは盾は守る物だって言うんだぜ?」


「いや、盾は守る物だ。攻撃の手段としては使えるが、それじゃあ、お前は俺に勝てない」


「なっ!ふざけるなよ!」


「何もふざけたことを言った覚えはないぞ?」


こう言うとメクリヤは俺に手袋を投げてきた。


「決闘だ!お前もこっちの方が楽だろう?」


全てを理解したような言い方をされたが、俺はそこまで戦闘狂ではない。


「でも、他の生徒も見に行かないと」


「大丈夫だ!俺がすぐに終わらせる」


(こいつーー!痛い目に合わないとこの性格が治ることはないのか?)


俺は手袋を拾う。


「よし!俺は盾と短剣、スキルを使わしてもらうぜ?」


「構わないぜ。俺は盾だけでお前に勝ってやろう。違うな。俺達でだな」


俺はメクリヤからネックレスを奪い取る。


「何をするんだよ?」


「『憑依ポゼッション』だよ!」


俺は目を開く。


「爾に正しき敗北を!」

「身の程を弁えないガキに粛清を!」


俺とセイズは共に声を合わせる。


憑依ポゼッション』はあのネックレスをつけている聖騎士龍としか発動しないというデメリットを持っている。


俺は半分の意識をセイズに、もう半分を自分のものにした。


「気持ちわりー。こいつ右目だけ黄色だよ」


メクリヤはドン引きしているようだった。

だが、そんなことは関係ない!


「外に出ろ」


「はいよ!俺様が1番強く、盾は守る物じゃないと言うことを証明してやる!」


そう言いながらメクリヤは外に出て行った。

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