第13話彼は生徒と龍のマンツーマン指導を横目で見るⅠ
今日は完全オフーー。
何?仕事をさぼっているって?いやいや、俺だってちゃんと仕事をしているさ。
俺は現在自主練習に励んでいる生徒たちを順に見て回っているところだ。今は、セイルの特訓を見ながら、休憩中だ。
セイル・ガンスレンダー1年8組1席……。
スキル『ガン・コントロール』
このゲニー魔術学園では、成績の順に出席番号が指定されている。
「ほら!照準が乱れているぞ!腕に力を込めて!」
「はい!分かりました!」
セイルは着々と銃の腕を増している。
ちなみにセイルが喋っている奴は聖騎士龍“空間神龍ワールドリデーズ”である。俺が危険区にいた時に俺に銃の使い方を教えてくれた優しい龍だ。
ただ、怒ると怖い。
一度怒らせると5体の聖騎士龍で取り囲んでやっとおさまると言ったほどの凶暴さを秘めている。
「違う!そんな使い方をしたら駄目だ!」
「すみません!」
俺は説教されているセイルを見てクスクスと笑うのが日課になり始めていた。
(別の奴も見に行くか)
そう思いながら俺は氷魔術室に向かった。
クラディア・スノィー1年8組4席……。
スキル『ブリザード』。自身の周りの温度を下げる。反動としていつもセーターを着ないと風邪をひいてしまう。
ここではブリザードワンプスとクラディア・スノィーが特訓中である。
「違うよ、嬢ちゃん。なんて言えばいいかな?イメージするんだ!そう!イメージ」
「イメージですか?」
(駄目だ。ブリザードワンプスには人を教える才能がない)
俺は部屋に入る。
「おぉ!相棒!いいところに来た!」
ワンプスはとても嬉しそうな声を上げる。
「はぁ、お前なー」
俺はチャチャっとクラディアの疑問に答える。
「ハァーン。そう言うことでしたか。わかりました。ありがとうございます」
クラディアは笑顔で俺に一礼した。
(かわいいなー。何を考えているんだ!いくら元カノに似ているからと言ってそんなことを考えるな!)
俺は首をブンブンと振る。
「先生?」
クラディアは俺の顔を覗き込む。
「俺は別の生徒を見てくる!じゃあ、頑張れよ!」
俺は彼女の頭をポンポンとして外に出た。
(ふぅー。危なかった。さて、次はどこに行こうかな?)
そう思った瞬間に隣の部屋でドゴーンという音がした。
「な!なんだ!」
俺は慌てて隣の美術室の扉を開いた。
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