第12話彼は再度自己紹介をする

「よーし。実体験の話も終わったし、今から授業を」


そう言いながら時計を見ると授業時間はもう残りわずかであった。


「あー、やらかしたな」


俺はこの短い時間を使って教科書絶対人間に感想を聞く事にした。


「どうだった?俺は、この頃からこの自作の教科書でやってきたんだ。これは俺の人生を象徴する物だ。俺にとって、お前らの言う神聖な教科書は、これなんだ」


俺はある一人の生徒に感想を尋ねる。


「セイルどうだったよ?お前は俺には勝てない。なぜなら俺は龍と互角に殺りあえる実力を持っているからだ」


「なんなんだよ!平民のお前が!貴族が研究し続けた連写式魔術を発明しただと!ふざけるな!お前が、なんでお前なんかが」


セイルはポロポロと涙を流す。


「私の尊敬する叔父様は連写式魔術をもう少しで完成させるところで研究仲間に殺されたんだ!その結果を奪うために!お前が公表していたら、叔父様は死ななかったんじゃないのか⁉︎そして、結局、連写式魔術はまだ開発されていない!叔父様の死は無駄になったんだぞ!」


俺はなんと返したらいいのかわからなかった。


セイル・ガンスレンダー……。


貴族界カーストと俺が勝手に呼んでいるカーストの中で、ガンスレンダー家は上の下程の権力を持っている。

そんな、誇り高き家系に生まれた彼は…家を象徴する長男として過度なプライドを持っているのだろう。


「セイル、お前だけじゃない。俺の親父は、ある貴族のせいで死んだ。有名な魔術師ではなかったが、今の俺があるのはアイツがいたからだ。プライドを持とうが、勝手に人に理想を抱いて勝手に失望するのはお前の勝手だ。俺の持論を言わせてもらうのなら人が絶望を抱かないためには、希望を捨てるしかないと思っている」


セイルは奥歯で歯と歯をすり合わせる。


俺はある白いネックレスをポケットから取り出す。


「お前達には特別講師をつけてやろう」


俺はそう言ってネックレスをセイルに投げた。


「わっ!なんだ?」


その後、俺は各々の生徒にネックレスを投げつける。


「俺が事前にお前らのスキル、得意な魔術式、戦闘スタイルを入学テストで分析して組んだ特別講師だ。ネックレスをかけるとそいつと意思を交わすことができる品物だ」


そう、このネックレスは聖騎士龍とのコンタクトを取るためのネックレスだ。


「なんで!こんなに持っているんだよ!お前はなんなんだ?」


セイルや他の生徒は恵まれた者を見るような目で俺のことを見てくる。


「俺か?だから言っただろう?俺はピグロ。ピグロ・リメルサだ。ラウンドテイブル生まれ、危険区育ちの底辺魔術師さ!そして、今は君たち、1年8組の担任だ!」


俺は白衣を翻して教室を後にする。


壁越しに小さくチャイムが鳴った。

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