第11話彼は少年時代を思い出すⅧ
体がギシギシ痛む。
俺は硬い地面を背に床に寝転がっている。
「君!大丈夫か?」
鎧を纏った細身の男が俺に話しかけてきた。
「うっ!アイツは?」
「アイツ?」
「聖騎士龍の“光神龍インパクトセイズ”は?」
「あぁー。侵入してきたあの龍のことか?アイツならもういないよ。君が追い払ったんだってな?」
俺は天を仰ぐ。
「そうか。満足したのか」
「それは、どういう?」
男は不審そうだったが、ハッと顔を上げた。
「呻き声?少し見てくる。すまないね」
「お気になさらず。ん?」
俺はポケットに異質な物が入っている事に気がついた。
「なんだこれ?」
俺はポケットに入っていた宝石のネックレスのような物を首にかけることにした。
「あーあー、マイクテスト。マイクテスト」
(ん?)
困惑した。なぜか宝石からインパクトセイズの声が聞こえるからだろう。
「俺は何かに取り憑かれたのかな?」
「取り憑かれたわけではない、我が爾とのコンタクトの方法を確立したまでだ。貴様がそのネックレスを付けているあいブチ」
俺はそう聞いてネックレスを外した。
(これでよし!なんだったんだ?)
俺はもう一度つけてみる事にした。
「あーあー、マイクテスト。マイクテスト」
「そこからする意味ないだろ!」
俺はツッコミを反射的に入れてしまう。
「気にするでない。爾が我とコンタクトを取りたければこのネックレスを首にぶら下げよ」
俺はそう聞いていつでも会話を中断できる事に安堵感を覚える。
「ちなみに、お前は今、どこにいるんだ?危険区に帰ったのか?」
「いや、爾の中である」
「そうかー、ブリザードワンプスと仲良く……はぁ!?」
俺は冷静になって状況を必死に整理しようとする。
(ちなみに右ポケットにセイズのが。左ポケットに俺様のネックレスを入れてあるぜ?)
そう言われて俺はポケットに手を突っこむ。
「な!どうして?」
「ちょいと、本気を出しすぎたようだ」
セイズがお恥ずかしいと言っているような口調で俺に話しかけてきた。
「勝手な推測でいくが、俺の体の中でお前らは休憩中ってことか?」
(まぁ、そういうわけだ。これからよろしく頼むぜ、相棒!)
「お前と相棒になった覚えはない!」
(そんなに冷たいこと言うなよー。これは、氷神龍が冷たいと感じると言うギャグなんだが)
「面白くない!」
(またまたー面白いと思っているくせにー)
「このネックレス売っぱらってやる!」
(待て待て!なしだ。すまなかった……)
俺は2つのネックレスを首にかける。
「セイズに関してはまだわかるけど、ワンプスがこのネックレスを作る意味ってあったのか?」
(カッコ良かったからだ!)
「どうせそうだと思ったよ!」
俺はため息をつく。
「さて、帰りたいが、体が痛くて動けない。あの細身の男を待つ事にするか」
こうして俺と2匹の龍のドタバタ生活が幕をあけた。
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