第6話彼は少年時代を思い出すⅢ

「さて、やるか?」


僕は独り言のつもりで聖騎士龍に話しかけてみた。


「勇敢な戦士よ、我、爾との戦闘を期待したり」


なんか、古典チックな回答が帰ってきた。


「喋れるんな」


「当たり前か、我は聖騎士龍なり」


「そうだな」


メチャクチャ会話がしづらい。


「なんでお前はここにきたんだ?」


素朴な疑問を投げかけてみた。


「強き者との戦闘を経験するためなり」


「俺で良ければ相手をしようか?」


「是非」


「先に、自己紹介からしようか?俺はピグロって言うんだ」


「ほう?ピグロと申すか?では、我も名乗っておこう。我は聖騎士龍族“光神竜インパクトセイズ”と申す」


「え?長いからセイズって呼んでもいいか?」


「かまわん」


話し方の割にはバッチリ決まったカタカナが使われていることにはツッコミを入れないようにして、俺はバックパックから自立型ドローンを取り出す。


「お前だって剣と盾を使うんだ。俺だって武器を使ってもいいだろ?」


「かまわん。フェアでなければ我の欲求が満たされることなき」


俺はそこまで聞いてドローンを起動した。


ピュキーンと音が鳴りドローンのプロペラが回り始める。


「さてと、戦闘開始といきますか?」


「そうだな」


俺はバゥクステップを踏んでセイズとの距離を取る。


「まずは小手調べから行こうか?ABCD用意!『腹痛スタマツ』!」


俺は早速ドローンを使ってスタマツを放つ。


「無駄なことを、我の盾に防げぬ物は無い!」


そう言ってセイズは盾を構える。


「それはどうかな?」


俺はニヤリと笑う。


「ふん、たわいもなっ!」


俺の放った『スタマツ』は反射性が全くないので、全ての物を通過する。故に、奴の盾も関係ないという訳だ。


「ぐっ!」


「腹が痛いだろう?」


「ぐぬぬっ!我の盾を貫通しよった!ククク、面白い!実に面白いぞ!」


セイズは笑っている。


「マジかよ」


「おもしろーなってきおった!さて、続いては我の番じゃな?」


こうして俺と聖騎士龍“インパクトセイズ”の戦いが幕を開けたのだった…。

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