3.回転ブランコ吹っ飛ばし事件 ~いじめよりも孤立する方が怖くなる~
中学一年の頃の話です。
ちょっかいがエスカレートして起きた初めての事件ですね。
まず、私の通ってた中学は隣接する二つの小学校から生徒が集まっていたため、小学生時代の同級生が半分、初対面の子が半分といった構成でした。
ですから、私がいじめられるキャラと知らない人も半分いるという訳です。
その為、私は「中学からは痛い目に合わないかもしれない」なんて思ってました。
ただ、それは大誤算でした。甘い。考えが甘いです。現実はね、そう都合良く回らないんですよ。良い教材になったと今では思ってます。
私を知らない人が半分いても知ってる人が半分います。小学生時代の「いじめっ子」も当然同じ学校にいますので、軽いちょっかいは入学直後から続きました。
そして、各々がどんなキャラなのか、どこのポジションに居座るのか確定していく中で、私はやはり底辺のいじられキャラに落ち着くのでした。
ほぼ初対面の相手でも、度々ちょっかいを受けている光景を見ていれば「ああ、この人はいじっても大丈夫なんだな」と思うわけです。
結果として、中学から合流した同級生も私のキャラを認識してちょっかいを出すようになりました。
内容は以前とさほど変わらず。体格や運動音痴をいじるものでした。
いきなり引き止められ、私の体を持ち上げて「うわ軽っ!」なんて言うのです。持ち上げなくても見りゃ分かるだろ(笑
まあ、その程度ならよくある事ですし私も気にしていなかったのですが、時間が経つにつれて内容はエスカレートしていきます。
そして事件は起きました。
昼休み。廊下を歩いていた私は、クラスメイトの二人組に呼ばれ、私の体を好き勝手に持ち上げて遊び始めます。
しかしこの日は普段より過激なもので、私の両腕をクラスメイトの一人が掴み、ぐるぐると回し始めたのです。細身な私は遠心力で簡単に浮き上がり、まるで回転ブランコのように振り回されました。
ぶんぶんと何回転かしましたが、突然私の腕を掴む手が離されました。故意だったのかは定かではありませんが、その後の展開は想像に難くないでしょう。
地球の物理法則に従い、私は勢いよく吹っ飛ばされます。さながら、ハンマー投げのハンマーになった気持ちです。
全身を地面に強打しましたが、幸いにも頭を打つことはありませんでした。狭い廊下でしたから、下手をすれば大怪我にもなり得たでしょう。軽い打撲程度だったのが奇跡なくらいです。
更に奇跡というか、吹っ飛ばされた直後を近くにいた学年主任の先生が偶然見ており、すぐに駆け付けてくれました。
そして私は保健室へ、クラスメイトの二人組は職員室へ連行されていきました。
痛みはそこまで酷くなかったので、湿布を貼ってもらった私は先生のお達しにより、二人組のいる職員室へ合流しました。被害者である私を含め、事情聴取をしたかったそうです。
まず、学年主任の先生は二人組に事の
「そんなんじゃ飛ばされないだろ!」とか、普段は温厚な先生なのでそのギャップが怖かったのをよく覚えています。二人組も怯えて泣いてしまっていました。泣きたいのはこっちなんだけどね。
それからしばらく……多分三十分ぐらいだったと思いますが、先生による二人組への説教が続きました。私はそのすぐ隣で見ていたのですが、良い気はしません。
「ざまあみろ」とか思えるくらい気が強ければ良かったのですが、まあ当時の私は異常な位の馬鹿なお人好しだったので、クラスメイトの二人組が可哀想にも思えてきたのです。
もし私がもっと強かったら……。私がいなければ彼らも怒られずに済んだのに……。当時の私はそんな事を思っていました。
しかし、それは駄目な考え方です。冒頭にも言いましたが、いじめは正当化できません。どんな背景があろうと、いじめた奴が悪いのです。
事件から数日が経った後の休日。加害者のクラスメイトが親と一緒に私の家まで謝りに来ました。お詫びの菓子折を手に添えて。
私の両親も、この吹っ飛ばし事件には憤慨していましたが、いざ家まで謝罪に来られては怒鳴り散らすという訳にはいきません。
親子共々、本当に申し訳なさそうにしていましたので、「似たような真似は二度とするな」と取り決めてから帰ってもらいました。
それから、このクラスメイト二人組と口を交わすことは二度とありませんでした。だって当然です。お互いに関わりたくないんですもの。
些細なじゃれ合いがイジりに変わってやがていじめにエスカレートして……。そして事が大きくなって問題が浮上すれば
そして私も例外ではなく多くの人間からいじめられた挙句、孤立していきました。正に踏んだり蹴ったりです。私、前世に凶悪犯罪でもしでかしたんですかね?(笑
『孤立』は私にとって非常に辛いものでした。常に周囲の顔色を伺い集団にそれとなく溶け込みたい性格な私にとって、集団から弾き出されるのはいじめ行為よりも屈辱的だったかもしれません。
誰からも相手にされないのって、最初は結構心に刺さるんですよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます