第5話ひざ枕というのは結構寝やすいもののようだ

30分後――。

スマホのアラーム音で僕は目を覚ます。

「ふぅー。…ん?」

頭に何か柔らかいものが…。

僕は目を開ける。

すると、そこには恐華の姿があった。

「何やってんだよ…寝てるし」

(これがいわゆるひざ枕というやつか…まぁ、寝心地が悪いという訳ではないな…)

僕は彼女を起こさないようにスッと起き上がる。

「寝かしておくか?」

僕は迷ったが、気持ちよさそうに寝ていたので起こさずに横にしてやった。

僕はスマホを見る。

(何々?新しい依頼か?)

僕はスマホを落としかける。

「なっ!嘘だろ!今から相談事だと!」

ピコンと新しい通知が来る。

(ん?あー桃山先輩からだ…)

「起きたか?気持ちよさそうに寝ていたな」

桃山先輩はタイピングだけでなくスマホのフリック打ちも得意なのかメチャクチャ早い。

「おはようございます」

「ひざ枕はどうだった?」

(なんと答えたらいいんだろう?)

「可もなく不可もなくってところですかね?」

「そうか?メチャクチャぐっすり寝ていたが?」

「疲れていたんですよ」

「それもあんな美人に」

だんだん相手をするのが疲れてきた。

「じゃあ、今から相談の予約が入っているので…また」

と打って僕はラインの会話を中断した。

(どうしたものかな?)

僕は恐華が寝ているこのマット部分を隠せるカーテンがあることを思い出した。

(そうだ!あれを使えばいいじゃないか!)

僕は新聞部の部費をかすめとって買ったカーテンで睡眠ルームを作る。

(いや、待てよ?相談室にこの仕切りをつけるとうるさいかな?)

僕はそう思ったので結局彼女を起こすことにした。

「起きろー」

「ハッ!」

恐華はバサりと布団を翻す。

「寝てました?」

「うん…」

僕は彼女にお茶を入れる。

「ありがとうございます…ちっ!」

「どうしたの舌打ちなんてして?」

恐華は少しだけびくりとする。

「いえ、なんでもないです!」

「ふーん」

僕は棚からカルテを出す。

「今日の依頼者はアイツか…」

僕は依頼者を歓迎する準備をした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

感情欠如少年に恋愛は難しい 世も末コウセン @kota3383

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ