第3話彼は転校生の繕いを見抜く

「マジで?ウケるー」

「最近はこのグループのね……」

クラスの女子たちは高いヘルツでアイドルなどの話をしている。

「はぁ、面白いことでも無いかなー」

僕はスマホに映るニュースを眺めながら呟く。

キンコンカンコンとTHEチャイムのようなチャイムが鳴り響いたので僕はスマホを机の中にしまった。

「よし、全員いるな?よし、授業の前にお前達に大事な話がある。転校生が来ることになった。親父さんの転勤の都合だそうだ」

クラスメイト達が騒ぎ出す。

(転校生がなんだって言うんだよ?)

僕はため息をついて世界史の教科書を見ている。

「入っていいぞ」

先生がドアの奥にいるであろう転校生に声をかける。

(転校生が来るって今日からなのか?)

僕はそんなことを思いながら教科書を閉じる。

「よ・・・よろしくお願いします。犯駄排棄(はんだはいき)です」

(変わった苗字と名前だな。)

僕は頬をかきながら転校生の特徴を観察する。

犯駄排棄――。

高身長で、細身。年頃の男子には珍しいボサボサとした髪型。

観察しながら僕はあることに気がついた。

(僕も髪の毛はボサボサだったわ。)

僕はさらに観察を続ける。

ふと、彼の一点に目が釘付けになった。

くるぶし付近に痣があることに気がつく僕。

(虐待か…)

僕は彼のことをメモして後で話かけることにした。

僕は彼の自己紹介を耳で取り入れながら目で彼の特徴を取り入れた。

(繕ってるな…)

僕は彼の言動が取り繕った偽物であるということがすぐに分かった。

「これからよろしくお願いします」

拍手喝采…。完璧としか言い表せない繕いだった。

自身に注目を集めないため、特に体の痣を黙認されないために大袈裟なジェスチャーを活用した見事な繕い…。

僕は彼に興味が湧いた。

そして、身勝手な正義感とやらで彼の虐待を解決したいと思うようになった。

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