第2話 いつもと違う帰り道
今日は
桜は頭が良い。絵や作文のコンクールでよく入賞している。でも桜はおとなしいからいつも喜び方が
それに桜は美少女なのよね。礼香が可愛いだとすると、桜はザ・美少女って感じ。色白でまつ毛が長くてバサバサしている。おかっぱの髪型も、いつもサラサラ。桜は「目が重い」と言ってあまりまつ毛が好きじゃないみたいだけれども。頭が良くて美少女だなんてアニメのキャラみたい。
いつもと違う帰り道にちょっとどきどきした。桜はいつもこの道を一人で帰っているのか。長くないのかな怖くないのかな。こっちの道はお店やアパートが多いなと思った。お年寄りが結構歩いている。人通りが多いのでちょっと安心した。桜に話しかけようと思ったら桜は少し遠くを見ていた。何かあるのかな。
「捨て猫だ」
「え、あ本当だ」
段ボールに小さい猫が入っている。【優しい人に拾われてください】と紙に書いて貼ってあった。
「拾う、か。物みたいな言い方」
桜が哀しそうな顔をして言った。それともちょっと怒っているのかな。私と違って桜はあんまり感情を出さない。
「かわいそうだな」
私と桜が同時に言った。そのあとは言葉が出てこなかった。
私はこの間見たアニメで、拾った猫が実は魔法使いだった話を思い出した。猫がお礼に飼い主の願いを叶えた話だった。
「私、この猫飼おうかな」
「え? もしかしてこの間のアニメに影響受けてる?」
さすが桜、お見通しだ。ちょっと恥ずかしくなった。
「
さすが桜、するどい。何もかもお見通しだ。確かにそれもある。高槻くんは私が気になっている男子なのよ。
「お
桜がちょっと困った顔で言った。桜は私と違って
「お母さん、猫可愛いって言ってたし多分大丈夫でしょ。それに説得するから!」
私はガッツポーズを決めていた。こうなったらもう何を言っても無駄だと桜は知っている。
私は猫を抱いて帰り道を歩いた。
「ばいばい」
「ばいばーい、また来週」
私は笑顔で桜に手を振った。お母さんも桜に笑顔でおじぎをした。ご機嫌だ、これは行けるんじゃないか? けれどもお母さんは何も言わず、何だか話しかけてはいけないような空気だったので車内はずっと
家に着いたらとても怒られた。どうして勝手に飼うことに決めたのか、勝手に連れてきたのかと言われた時は「桜の言う通りだったわ」と後悔した。
お母さんだって猫が可愛いって言っていたじゃないの、そう思ったけれども怖くて言えなかった。でも桜に説得するって言ったんだから頑張らなくちゃ。私は猫の可愛さとかわいそうさを訴えた。
そしてついに勝ち取った。明日からの四連休だけは家にいてもいい権利を。そのあとのことはその時になってから考えればいいや。
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