第28話誰かに自分の文章を読んでもらうって嬉しい。めちゃめちゃ嬉しい。

 それから僕(私)は出会い系サイトで日記を毎日書き続けた。コツコツと自分の作品も書き続けながら。不思議なもので出会い系サイトでの修業は小説家になりたい僕(私)の書くことのプラスになっている。確実に。ネットには自分の作品をあげない僕(私)は基本的に自分の文章を誰かに読んでもらうことがなかった。でも今は毎日誰かが読んでくれている。これは僕(私)に元気を与えてくれる。それが書くことのプラスだと僕(私)は思う。まず、自分が今書いてる作品は紙の応募用のものであり。下読みの人が読むんだろうけれど最初の一ページも読んでくれているのか。読まずにシュレッダー疑惑の方が今は強い。だって稚拙とは言わないけれど芸能人や著名人が名前を隠して応募して、結果、大賞を獲って。編集者が連絡を取ったらビックリしたと言われても説得力がない。そんなのが多いし。そういう愚痴やネガティブな気持ち、病みそうな気持ちを『誰かが自分の文章を確実に読んでくれている』という現実が前向きにしてくれる。僕(私)の文章に興味を持ってくれたからフォローしてくれたわけだし。ちなみに今の僕(私)の日記のフォロワーは三人。三人目は女性の人だった。


 静香(神奈川県 三十八歳)


 静香さんの日記は女性である時点でフォロワー数も多く、基本毎日更新される日記には公開されるとすぐにいいねが山ほどつく。そしてコメントもたくさん書き込まれる。そのコメントはほとんどが男性からである。それでも静香さんは上品な文章を書かれる。まるでテレビのベテランニュースキャスターが読み上げる原稿のような文章。時事ネタ、旬のネタを交えながら『私はこう思う』を上手く入れてある。この人は小説家になりたいのか書くのが好きなのかは分からないけれど書くことのレベルはそこそこ高いと思った。マロン君にはマロン君の等身大の若者が書く前向きな良さがあり。静香さんには知的な女性が書く、顔が写ってない顔から下、上半身だけのプロフィール写真を見ても「きっと顔も知的な美人さんなんだろうなあ」と思わせる。名は体を表すと言うけれどあながち間違ってないのかもしれない。文章は顔を表す。ただ、かずやさんの顔だけは僕(私)には見えなかった。どこかで書かれたものを上手く自分流にアレンジし、それで賞賛のコメントを貰っているかずやさん。しかも既婚者。こういうサイトで既婚者宣言をしている時点で好感度アップは確実だと思うし、あれからかずやさんの日記は毎回読んでるけど小説家になりたい僕(私)から見れば三流以下だと思う。


「昨夜出会えたけどなんか質問ある」


1:ちひろ@名無しがお送りします


 特定されない限りで答えます(てか、ちひろやけどね)


3:ちひろ@名無しがお送りします


 いくつの子?かわいかった?


4:ちひろ@名無しがお送りします


 釣りやろ


5:ちひろ@名無しがお送りします


 >3


 JDでした(こらこら。何を想像しておる。ジョジョとディオやで)。かわいいっていうより人間賛歌でしたね。


 >4


 ごめんねー。釣りかも。


6:ちひろ@名無しがお送りします


 出会ったその日にどこまでいきました?


7:ちひろ@名無しがお送りします


 近場?やっぱり本当に出会えるんだ。


8:ちひろ@名無しがお送りします


 相手の第一印象、てか向こうのリアクションはどうだった?


9:ちひろ@名無しがお送りします


 >6


 五部までですね(え?ディオじゃない?五部はディアボロでしょ?Dじゃん)


 >7


 うーん、イタリアは…近場ではないです。三部は近かったかな。故郷はいいぞ!出会える?と言うより惹かれ合うって感じですね。


 >8


 これは…、うーん、ガッカリしてたと思ふー(いや、だってそんなんハードル思い切り上げてくるでしょー)


 こんな日記を書いてみたり。とにかく人がやってないことを、興味を持ってもらうことを心掛ける。そうなると自分の中でアイデアの考え方が柔らかくなったように思う。頭が固いとアイデアは出ないのではない。アイデアの選択肢が少なくなると表現したほうが正しいと思う。『風邪』とかいて『かぜじゃ』と読む『おふざけ』が大事なのだと思う。僕(私)の日記に出てくる「ぷろでゅーさー」だってあれはもう一人のちひろであり。一人二役の表現法の一つであり。その方が読みやすいし、自虐に最適だと思って生まれたキャラであり。成長を感じながらもっと大きな思い。


 誰かに自分の文章を読んでもらうって嬉しい。めちゃめちゃ嬉しい。


 だからみんな書くんだと思う。書き続けるのだと思う。誰かに読まれなくとも。

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