煙る夜(詩)

草木も眠る丑三つ時、眠らぬ街の排気音。

どこか遠くの道しるべ、上げる唸りは消えていく。

誰も彼もが下を見て、上を仰いだものはなし。


鳩羽鼠はとばねずみは涙を流し、けぶる景色は朧染おぼろぞめ。

欄干らんかん叩けば上調子、地べた叩けば下調子。

零れる雫は下まで落ちて、道を濡らして流れゆく。


草葉も揺らさぬそよ風が、ひやりとわずかに腕を舐め。

かき消されそうな雨音が、静まる家たち包み込む。


眠る街並み眠れぬ僕ら、夜明けも遠い午前3時。

雲の向こうは見通せない。

遠く霞んだ人為の星を、曖昧なまま眺めよう。

いつか遠くの大河を越えて、舟をこぎ出すその時までは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る