幾年、君の夢を見る
あれから五年が経った。
それぞれ二人は別の道に進んで、再び会うことはなかった。
まだ高校生。でもこれだけ会えない。同じ駅を使っていても、同じ地域に住んでいても、すれ違うことすらない。
じゃあ大学生になったら?僕も君もどこにでも行けてしまう。
実家を出て遠くの場所で暮らすかもしれない。実際僕はそのつもりだ。
そうなったら最寄りの駅も、住んでる地域も変わってしまえばもっと会えない。
社会人になったら?もう結婚して子供ができるかもしれない。
そうやって君と僕との距離は離れていく。
でも僕は君とは二度と会いたくない。
君はきっと会うたびに素敵になる。そのたび僕は恋に落ちてまた溢れてしまう。
君は僕のことをすっかり忘れて素敵な人と出会って幸せに暮らしてほしい。
もう僕のことは思い出さないで。さようなら。
これを言葉にした時、自然と
「もう僕のことは忘れないで」
と溢れた。勘弁してくれ。
君に教えてもらったことの一つに
「運命は出会うのではなく自分で結ぶもの」
というのがある。
僕は君と運命を繋げなかった。
片割れだけが僕の心に残って静かに蝕んでゆく。
僕は今日も君からもらった手紙を読んでまた声を上げて涙を流す。
君からもらったハンカチを抱きしめる。
そしてまた、ベッドに入って眠りにつく。
君からの呪いはもう二度と解けないのだろう。
僕は一生君を愛している。
三日に一度、
幾年君の夢を見る。
幾年、君の夢を見る うふふ @ikemen_daisukiufufu
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