呪いと運命

僕は頭が真っ白になりながらもすぐに



「うん。わかった。」



それだけ言ってその場を去った。



・・・なんとなく気づいていた。君の心が離れていることを。


表情を出さない君のことがわかってきたから、余計に。


でも僕は見ないフリをした。


教室で一人、座っていた僕の足は震えていた。


頭がとにかく真っ白で、すごく悪い夢を見ているような気がした。


別れたという実感がなくてただただ帰り道は足を無理やり運んだ。





そうして空虚なままお風呂に入った時、一気にドバッと気持ちが溢れた。


とにかくシャワーと一緒に涙を流した。


止まらない涙は君との思い出を蘇らせてワっと溢れ続けた。


君がいない僕は僕が僕で無くなってしまうような気がした。


失恋ソングを聞いてまた決壊したダムのように涙を流した。


声を上げて叫ぶように君を想った。


どうやって次の日から毎日を過ごしたのか、別れを切り出されてから次の年の夏まで、僕の記憶はない。



次の年はクラスが離れてしまった。もうこれで関わることもなくなった。


中三の冬、お互いの進路が決まった。


別れてから僕と君は何もなかったかのようにただ自然に消えていった。


楽しかった思い出も二人の時間はもうそこにはない。


「なんでも一つ言うことを聞いてあげる」誕生日にそう言われた時、ずっと一緒にいてください。と言えばよかった?



後悔は話せば話すほど出てきて止まらなくなる。


もっと君と話したいことは処理しきれないほどある。



いままでの全部を君と共有したかった。


僕はそれでも君をまだ想っている。



失恋は時間が解決してくれるから、忘れられなくても仕方ないよ。と、失恋したことを相談すると口を揃えてみんなに言われた。


でも僕は知っている。この失恋は何年経っても何十年経っても消えないことを。


下手したらおじいちゃんになって最後の最後まで君を想っている。その可能性は大いにある。


何が僕をここまで惹きつけて離さないかはわからない。


芸能人やその辺の人だって外見がいい、素敵な人なんて星の数ほどいる。


だけどこの先誰と恋人になっても、どんな素敵な人と付き合っても本気で僕が想いを捧げる人は生涯君だけだと言える。




もし、運命はありますか?と聞かれたらこれが運命じゃないのならどう説明をすれば良いのか分からないほどに僕の全身の細胞から君への想いが溢れている。

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