想いと想い

この頃一人の女の子に僕は猛アタックされていた。


毎日毎日来るライン、僕は一年以上君を追い続けていても君はちっとも振り向いてくれないどころか避けられてしまっている。


なんの迷いがあったのか、僕は猛アタックしてきた女の子からの告白を受けてしまった。



僕はどうしようもないやつだ。



彼女が「好きだよ」と一生懸命言ってくれているのにも関わらず、

テキトーに「俺もだよ」と返した。

本当に興味すら湧かない相手との交際は苦しいものだった。


付き合った次の日から別れることばかり考えていて、ますます君が欲しくなってしまう。


今隣にいる女の子が彼女じゃなくて君だったらなぁと常に考えていた。


デートの誘いも「いつかね」とはぐらかしたり彼女といる時も君のことばかり考えていた。


僕がそれに気がついた時、彼女に別れを切り出していた。付き合い始めてわずか一週間になる日。



「“君“じゃなきゃだめみたいなんだ。本当にごめん。」



思わず口からこぼれたその言葉は、僕の心からの言葉だった。


彼女は驚いた表情で振り向きながらも、少し気づいていたような切ない表情をして



「早すぎるよ。まだ行きたい場所だって、“僕“と過ごしたい時間だってまだまだあるのに。

どうしても今じゃないとダメ・・・かな?」



と言った。


ごめん、とひたすら言うことしかできなかった。


そんな僕に彼女は、



「もういいよ。“僕“が初めからわたしを好きじゃなかったこと知ってたよ。でも、それでも一緒にいたかったんだ。」



ヘヘッと彼女は切ない瞳を向けて笑った。



「わたしを振ったんだから“君“とくっつかないと許さないからね!」



と最後には僕の胸を叩いて言った。




その夜、僕は初めて彼女の夢を見た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る