一目惚れ

君と出会ったのは中学に入学して少し経ってから。


高く結んだポニーテールと、凛々しい美しさ。でもどこか寂しげな背中に僕は強く惹かれた。


クラスは違ったけれど毎日毎日君のクラスに通った。


休み時間は本を読んでいて、静かで。

周りと群れない1匹狼みたいで、またそこも惹かれてしまう。


最初はほんの少しの好奇心だけだった・・・と思っていたけれど、君と初めて目が合った瞬間僕の世界が変わった。


ちょっと冷たいような、寂しげな瞳だったけれど僕を真っ直ぐ見ていた。


吸い込まれるような強い瞳に僕は強烈なパンチを喰らったかのように、ノックアウトしてしまった。



そうして僕も真っ直ぐと君を見つめた。



こんなに誰かを好きになるのは初めてで、

わりと僕はすぐに好きな子ができてしまうようなどうしようもない男だったけれど、

今までとは漠然と違う恋だということは確信的にわかっていた。


君を追いかける僕は、本当に一生懸命で。君一色の毎日だった。


君はバレー部で僕はバスケ部だったから木曜日だけ使用日が重なる体育館の日は練習に身が入らないくらい君ばかり見つめていたと思う。


君と目が合った回数を数えて毎日一喜一憂。


ベッドに入って今日廊下で君とすれ違った時のこと、目が合った時君は僕を見てなんて思ったかな、とか考えて幸せな気分で眠りについた。


僕はわりと周りに君のことが気になっている、とか学校で一番素敵な女の子とかそういうことを喋っていた。


あまりに言いすぎていたせいで噂になってしまって、君がいる目の前で仲のいい女子達が

「“僕“が“君“のこと好きらしいよー」

とわざと言ったり僕の近くに君がいると

「あっ!“僕“、あの子いるよ」

と騒ぎ立てたりされてしまって、僕が君のことを好きだってことはすぐにバレてしまった。


それから、君は目が合うと急ぎ足で去ってしまったりあからさまに僕を避けるようになってしまった。



それでも僕は一年以上君をずっと思い続けた。



そして中学二年生。


僕と君は同じクラスになった。


授業中も、休み時間も君とずっと一緒にいられる。まさに幸せな毎日だった。

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