年越しそば
「蕎麦が食べれんのや。アレルギーでな」
結婚したその年に夫から聞いた言葉だった。
だから、結婚後に夫に蕎麦を準備したことは一度もない。子供たちが大人になるまで夫がいる食卓には蕎麦を出すことはなかった。
年越し蕎麦は、我が家では長い間太くて短いうどんだった。
子供たちが大人になってからは、子供たちと私は蕎麦を食べた。蕎麦が混ざらないように準備して食べあともかたずけ迄注意深く行った。
結構な労力が要った。
それなのに今年になって夫が言い出した。
「蕎麦食べれると思うで。はっきりしてなかったし」
「えっ、どういうこと」
「だから、蕎麦が原因か分からんかったんや。症状もそれほどでなかったし。他の物やったかもなあ」
う~ん、話が違うような。
「まあ、受診した時に一緒に検査してもらったら」
「ああ、そうやなあ」
夫は、11月になってようやく主治医に希望を伝えた。
採血結果でアレルギーは、無かった。
くう~。これまでの長い期間は、何だったの。
まあ、でもいいか。大丈夫なら何も気にせずに準備して食べることが出来る。
夫との外食時にも蕎麦屋に入れる。
だって、私は蕎麦が大好きなんだもの。
検査結果を聞いた後に、少量から蕎麦を試してみたが何ともなかった。
量を増やしながら計三回夫に蕎麦を出した。大丈夫だった。
やった~。
今年は記念すべき年越しそば解禁だわ。
実に夫と共に迎える37回目にして初のね。
皆様にとっても、我が家にとっても…心穏やかな新年となりますように。
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