斎藤さんちの小噺

きっと前世はジプシー

　雪予報の前日から主寝室で寝るようにした私。

　夫婦別室で眠るようになり、どれほどの年月が経ったのだろうか。かなり経つ。

　きっかけは、些細なケンカだったのだけど存外に過ごしやすかったので継続。

　夫は、そのまま小さな我が家で一番広い主寝室を使用。一部変形した間取りになっていて、そこにデスクトップのパソコン、アームをつけ画面を二台にしている。本棚には多くの漫画本。悠々と快適な時間を過ごしているよう。怖い私からの現実逃避部屋なのかもしれない。

　私は、子供たちの部屋を使用。

　当初、日当たりの良い娘の部屋を使用していた。

　だが、娘がちょくちょく帰ってくるようになり、娘が帰るたびに息子の部屋に移るのも面倒なのでここ何年かは息子の部屋を使用。　

　娘と息子が同時に帰省する年末年始などは、仕方なく主寝室に布団をお引越ししていた。数日ならまあね…何とか。

　でも、ここ最近の光熱費の高騰が気になった。

　毎年冬になると配管の凍結防止のコンセントを差し込むのだけど、その月から電気代がぐっと跳ね上がる。

　だから、今期は特に恐ろしくって。

　どうしようか。

　仕方がない。

　夫のベッドがある寝室に戻るか。

　そうすれば、エアコンの電気代もファンヒーターの灯油代も節約できる。

　ただ、現在はベッドを変えたため主寝室にあるのは夫用のシングルベッドだけ。電動でゼロGなんて設定もある良いベッド。マットレスも良い物を使っている。

　一方、私はというと子供たちのベッドを使っていた。

　新しいベッドを購入する気にはなれない。

　だって、暖かくなったらまた子供の部屋に移るかもしれないし。

　いや、きっとそうなると思う。

　絨毯の上にすのことを置いて布団を敷いた。

　う～ん、位置が低い。

　夫に見下ろされる気がしてちょっと不快だわ。

　一日目、不眠。

　二日目、布団に入って直ぐに顔のあたりが痒いなあと思いながらなんとか寝た。目が覚めたら、右目の下あたりが腫れて痛痒かった。どうもブヨに咬まれたようだわ。

そういえば、布団を移した日に窓掃除をしていたら、小さな羽虫を見た気がしたけど夫の部屋だからいいかなあと…失敗した。自分が咬まれた。

　三日目、防虫剤を夕方に噴霧しておいた。ブヨに咬まれたことや最近アレルギー反応が強くなっていたので久しぶりに抗アレルギー剤を飲んで早く寝たら熟睡できた。ただし、日中抗アレルギー剤の影響で眠かった。

　さあ、今夜は眠れるかしら。

　何だか、家の中をうろうろと眠る場所を求め彷徨っているような感覚。

　そういえば、子供の頃引っ越しが多く中学も高校もそれぞれ転校した。制服を二種類ずつ着れたのは、ラッキーだった。

　働き出してからも、現在の家に移るまでは幾度か引っ越した。

　堪え性のない私は、勤務先も転々とした。

　以前から思っていたのだけど…きっと私の前世はジプシーだったのかも。