噂をすれば何とやら
毎朝、カーテンを開けるたびに思うことがある。
年の瀬に向けて網戸を洗って窓を拭きカーテンも洗いたい。
小さな我が家でもすべての窓の掃除をするには、そろそろ始めた方が良い。
寒さが厳しくなれば億劫になるから。
そろそろ始めようか。
でも、どうしようか。
「今年って、カメムシどうかしら。テレビでは多いって言ってるけど」
「そうそう。でも、この辺り今年はいないよね」
「やっぱりそうよね。なら、もう蜘蛛の巣を
その後、髪を切ってもらいながら彼女と女郎蜘蛛の生態について話に花が咲いた。
(「気まま日和」の60話に女郎蜘蛛を短歌にしています)
二階の窓の外に大きな女郎蜘蛛の巣がある。
巣を作り始めたころから気が付いていたけど、害虫の侵入防止に効果があるかと放っておいたら日々増築され巨大化してしまった。
カメムシが少ないのなら蜘蛛の巣を払おう。
会話を楽しみながら髪を綺麗に整えてもらった私は、行きつけの美容室から意気揚々と帰宅した。
玄関ドアのカギを開けようとしたとき、脇にあるサンルームの網戸に小さなカメムシが何匹も止まっているのが目に入った。
「ありゃりゃ……」
二階に上がり蜘蛛の巣を確認した。
たぶんなのだけど、小さな丸いカメムシらしきものが巣に掛かっているのが見えた。
う~ん、口に出したのが悪かったのかしら。
「噂をすれば何とやらって言うよね」と、独り言ちた。
小さなカメムシが出た後にその名の通り亀の形に似た大きなカメムシが出るはず。
数日後、大きなカメムシが見かけられるようになった。
「やっぱりか」納得した。
結局、ここ数日の頭痛も言い訳に窓掃除はせず、毎朝女郎蜘蛛と対面している。
まだ、二か月以上もあるのだけど。
もしかしたら、このまま年を越しちゃうかも。
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