酷暑
日差しの強い午後2時。
玄関ドアを開けると熱風のような外気に包まれ後悔した。
やっぱり午前中に出かけるべきだった。
午前中に買い出しに行くか迷ったが、冷蔵庫の中は潤っていて「まあ、あるものでいいか」と、子供たちが幼かった頃のアルバムの整理を始めた。
「小さい頃は可愛かったんだよね」と、つい見入ってしまう。いつの間にか時計は、11時を過ぎていた。
頭が痛い。
長い時間、首を曲げていたからなのか。
とりあえず休憩しようと麦茶を入れながら、エアコンを点けていなかったことに気が付いた。早朝は窓を開けると自然が多いので、やり過ごすことができる。
今年は、特に節電に勤しんでいて、今のところ太陽がしっかりと顔を見せてからエアコンに頼ることにしていた。
写真に集中していたからなのかそれほど暑いとは、感じていなかった。
エアコンに向けてリモコンのお知らせボタンを押してみる。
「只今の室温32℃、湿度55%です」と知らせてくれた。
「やばい」慌てて冷房を開始した。水分補給もしたが、頭痛と倦怠感はなかなかすっきりしない。熱中症っぽい。
高齢になると感覚が鈍り、暑さやのどの渇きも感じにくくなりやすい。
う~ん、私もその域に片足を突っ込んだのか。
そのあと体調は悪化しなかったが、なかなかすっきりもしなかった。
居間の床でゴロゴロしながら考えるけど、夕食のメニューが全く以って思い浮かばない。ここ数日のことだが夫も暑さに負けて食欲がない。尚更思い浮かばない。
意を決して起き上がると、ズキッと頭痛がしたが何とか大丈夫そう。買い物に行けば何か喉ごしの良い物があるだろうと、決心した。
やはり外は暑かった。気温35度の世界がすべてを包んでいた。
スーパーに向かう道は見通しが良い下り坂。
真っ青な空に白い入道雲が浮かんでいる。綺麗だ。
久しぶりに俳句を詠んでみた。
「夏空に 白き綿飴 青に浮く」
詠んだ後に何だか爽やかな風が吹いた気がした。だがそれは、単に車の吹き出し口からの冷気だった。
やっぱり、頭が痛い。
エコバッグには冷麺やスイカなどが鎮座した。
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