本音が出ちゃった

 久しぶりに夫が飲み会に行った日のこと。

 車での迎えを頼まれていた私は着替えるのも億劫なので入浴せずに待った。

もしかして、2次会にでも行ったのかしらと思った矢先にお迎えコールがあった。


 以前に酔った夫を迎えに行った際に大変な思いをしたことがある。帰りの車内で酒臭い息を撒き散らすように散々おしゃべりをしたハイテンションの夫は、到着して居間に座った次の瞬間になんと炬燵布団を受け皿のように両手で持ち吐いた。

 もちろん、その布団は速やかに外のゴミ箱へと追いやられた。夫も一緒に出したかったのだがそこは我慢した。

 そのことがあって以降はしっかり対策はしているし、吐くこともなかった。

 今回も少々陽気だがそれほど問題はなかった。

 「じゃあ、私は風呂に入ってくるから水飲んで炬燵で休んどき。吐くときはこのゴミ箱にね」

 「うん、今日は大丈夫。一緒に風呂入ったろか」と、陽気な夫が言う。

 何十年と一緒に入っていないのにめんどくさい冗談だ。丸い夫と入ったら風呂が狭いしなどと思いながら答えた。

 「嫌やわ、脂臭いし。あっ、間違えた酒臭いし」

 存外にデリケートな夫を傷つけたかと気になったが酔いのために覚えていない様子でセーフだった。

 言い間違いも気を付けなくては。

 ごめんね、夫よ。

 間違えてつい本音を言っちゃったわ。

 

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