お待たせ致しました
今日、手土産用の焼き菓子を買いにケーキ屋さんに行った時のこと。
目的とは別にショーケースのケーキに誘惑されてイチゴショートとモンブランを注文した。もちろん、手土産用も忘れずに注文。
店員さんはいつもと違う若いアルバイトさんだった。
手土産用は有名なマスコットキャラクターの缶入りのパイだったが、立てかけられた商品には青いリボンが結ばれていた。
「こちらのリボンのかかったほうでよろしいですか」と客サイドから店員さんがそれを持ち上げた。そこに立てかけてあったプラスチックの値札がその店員さんの前でスローに落下。
値札をキャッチしようと店員さんが頑張るが3回ほど床で跳ねているそれに遊ばれているようだった。
結局、私の手のほうが少し早くそれを掴んだ。
「すみません」おっとりとした口調で落ち着いた笑顔だった。
そのあと、手を消毒してケーキを紙箱に入れて袋へ、手土産の品は同じキャラクターの可愛い袋へ入れてくれた。
その様子をボケーッと見ていると、そのスローなテンポがまるで振り子のように感じてきた。
せわしない日常にこういう時間もあっていいような気がする。
支払いをする頃には眠気が襲っていた。
「大変お待たせ致しました。」と笑顔の可愛い店員さんが言う。
私は首を横に振りながら、
「いえいえ、お待たせいた…」
「あっ!違う。お、お世話になりました。」
言い間違えて焦った私に「いえ、」と、落ち着いた声で優しい笑顔を向けた。
その笑顔が作りものではなく「わかっていますよ」と言ってくれている気がした。
ああいう感じの娘さんが息子の嫁に来てくれたらなあ、、、と思った。
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