レシピ
古い雑居ビル2階奥にある探偵事務所。
3畳と決して広くはないがミニ冷蔵庫も置き、デザートも出せるようにした。
が、未だ誰もこない。
ミステリー小説に探偵漫画を読むこと1年。
推理した犯人はほぼ当ててきた。
名探偵になると誓って1か月。
誰も来ない。
窓から見える八百屋では、今日もこのビルのオーナーの緑ヘアーのおばさんがキャベツを売りまくっていた。
お腹すいたな...
窓の外の商店街の様子を見ているとお腹がすいてきた。
ミニ冷蔵庫を開けるとそこにはたくさんの野菜が入っていた。
この事務所に入居し2週間。
毎朝、野菜を入れた袋が事務所のドアノブに引っ掛けてあるのだ。
いつ誰が置いているのか気になり、ドアの前で張り込んでいるがいつの間にか眠ってしまい、気づいた時にはドアノブに野菜が引っ掛けてある。
ちなみに今日はキャベツだった。
これまで届いた野菜でいろいろ作った。
カボチャはプリンに。
人参は人参ケーキに。
長芋はホットケーキ。
ミニトマトはゼリーに。
ナスでパイを作ったりもした。
依頼が来た際に、依頼者にお茶と一緒にすぐ出せるようにとデザートばかり作っているが依頼がないので減らないし野菜も余っている。
今日のキャベツはどうしよう。
山芋も残ってるし、お好み焼きでも作ろうかな...。
コンコンッ ガチャッ
振り返るとそこには八百屋の緑ヘアーのオーナーが立っていた。
「これ、レシピ本。あげる」
そう言うとテーブルに本を置いて出て行った。
レシピ本に手を伸ばすと付箋が貼ってあるところがあった。開いてみるとキャベツのページでそこには【キャベツムース】と書かれていた。
あ、おいしそう。
ぶえっくしぃ!!
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